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ピーター・ボグダノヴィッチ監督『ラスト・ショー』アメリカン・ニューシネマの名作



<作品情報>

「ペーパー・ムーン」のピーター・ボグダノビッチ監督による青春ドラマ。ラリー・マクマートリーの半自伝的小説を基に、ボグダノビッチ監督とマクマートリーが共同で脚本を手がけ、テキサスの田舎町で暮らす多感な若者たちの青春をノスタルジックに描いた。1951年、テキサスの小さな町アナリーン。高校生のソニーと親友デュアンにとって、元カウボーイのサムが経営する映画館は唯一のデート場所だ。しかし2人とも、それぞれ恋人との関係が上手くゆかずにいた。そんなある日、フットボールのコーチから妻ルースの送迎を頼まれたソニーは、心優しい彼女に惹かれていく。1972年・第44回アカデミー賞で、サム役のベン・ジョンソンが助演男優賞、ルース役のクロリス・リーチマンが助演女優賞を受賞した。

1971年製作/118分/アメリカ
原題:The Last Picture Show
配給:コロムビア
劇場公開日:1972年7月20日

https://eiga.com/movie/50513/

<作品評価>

60点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

おいしい水
思ったよりずっといい作品でした。ボグダノヴィッチ監督らしい叙情的な演出が光る秀作です。
アカデミー賞を受賞した二人は確かに美味しい役どころです。街のボス的なサム、高校生と不倫するルース。サニーとデュエーンというタイプの違うイケメン、ジェイシーという狡猾な女性という描き分けができています。
寂れた炭坑町ならではの閉塞感もあります。街のまとめ役的な役回りだったサムが死んだことでバランスが崩れていきます。西部のある街の肖像とも言うべき情感溢れる作品でした。
特にサニーと不倫するルースの心理描写がいいと思いました。今となっては愛していない夫との関係と若いサニーに惹かれる女心がよく描かれていました。
まぁ正直ニューシネマと言っても男女という二元論になってしまうのが物足りなかったです。男は~とか女は~とかやたら言うのが気になりました。でも貧しい白人地域では今も残っている価値観であるかもしれないですね。そこをリアルに切り取ったとも言えます。
男女がくっついたり離れたり…というだけの映画なのですが、不思議に引き込まれる何かがあります。青春群像劇としてなかなか魅せます。あまり期待していなかったですがけっこう面白かったです。

吉原
うーん… 最初の頃の雰囲気は良かったんだけど、そのノリを延々と見せられると流石に飽きる… 途中まで誰が誰なのかよくわからなかったし…
原作は「愛と追憶の日々」「ブロークバック・マウンテン」の原作者の反自伝的作品。高校生らしい性への向き合い方っていうのはもっと歳を取れば染みるのかもしれませんが、まだそこまでの感情は抱けませんでした。
高校生が全員全裸になってプールで遊ぶシーンと個人経営映画館の廃業が街が衰退していることのメタファーになってること、映画のムードを壊すことなくささやかに流れるハンク・ウィリアムズの名曲の数々は印象的でした。

<おわりに>

 ピーター・ボグダノヴィッチ監督作品です。リズムが気持ちいいと感じるかどうかで印象はかなり変わる一作かもしれません。

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