ニキータ・ミハルコフ監督『ウルガ』美しい内モンゴルと揺れる家族
<作品情報>
<作品評価>
60点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
上村
ミハルコフはイマイチハマらない監督なんです。『太陽に灼かれて』はどんな映画だったかほとんど覚えていません。クオリティは高いけど刺さらないんです。
本作は内モンゴルを舞台とし、ロシア人との交流によって揺らいでいく、ある一家をめぐる話です。
これまたロケーション大優勝の作品。大自然のなんと美しいこと!撮影しがいがありそうです。
タイトルのウルガとは羊をつかまえる道具の名前です。そして性のメタファーという意味もあるようです。
文明と素朴な暮らしの間で一家は揺れます。幻想シーンを上手く用いて揺れる心を描き出しています。
非常に地味な作品で、前半はほとんど話が動かないが、後半のためと思えばこれはこれでアリでしょう。やはり刺さりはしないけどいい作品だと思います。
クマガイ
大自然!大平原の中で繰り広げられるゲル(遊牧民族)の生活に迫った作品でした。
昔、ブータニングという概念を友達から聞いたことがあります。
幸福度1位の国として知られたブータンが、徐々に文明の利器に触れていき、実は自分たちが本当に豊かだったのかと問い直した結果、気付けばブータンの幸福度はどんどん下降していきました。
本作における『ウルガ』という幸せの在り方が不変なことを信じたいですが、結局これってどうなるんでしょうね…。
非常に考えさせられる作品でした。
吉原
内モンゴルの美しい風景をバックにモンゴル人家族とロシア人の交流と移りゆく時代の流れを描いた作品です。タイトルの「ウルガ」は長い棒のような道具で、これを草原に刺すことが本来の使い方とは別の意味を示します。物語後半の方が評価を受けているようだが、個人的にはロシア人との交流が描かれた前半、特にゴンボの娘がロシア人のために、楽器を弾くシーンがなごましくて好きです。ラストの幻想シーンは今までの流れに反して迫力重視のアクションで、これこそ劇場で鑑賞したいと思わせるようなシーンでした。幻想から現実への戻り方は映画よりも舞台の場面転換の様に感じられました。
<おわりに>
内モンゴルの美しいロケーション、撮影が見ものの作品です。大自然に暮らす一家の心の揺れを表現した佳作と言えるでしょう。
<私たちについて>
映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?