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チャン・イーモウ監督『秋菊の物語』絶対に謝らせたい妊婦vs絶対に謝らない村長


<作品情報>

第49回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞受賞作品(1992年)
夫が村長との言い争いから、股間を蹴られてケガをする。妻の秋菊は村長のもとを訪ねるが、彼はまったく詫びる気がない。怒りの収まらない妻は警察に訴え、いつしか裁判沙汰へと発展していく。

1992年製作/101分/中国・香港合作
監督:チャン・イーモウ
キャスト : コン・リー、レイ・ラオション、コオ・チーチュンほか
原題:秋菊打官司 The Story of Qiu Ju
配給:フランス映画社                        

https://eiga.com/movie/14469/

<作品評価>

60点(100点満点)
オススメ度:★★★☆☆

<短評>

上村
リアリズムに徹した静かな作品です。『紅いコーリャン』とのギャップに驚きました。
夫が村長に蹴られたことを訴え出た妻が予期せぬ方向に導かれていく様をリアリティのある描写で撮っています。
イーモウの初期にみられる赤く染まった画面は本作も同じです。広大な自然と美しい撮影がいいんです。ロケーションの地点でこれは勝ちでしたね。
ささいな出来事(本人たちにはそうではないですが)がどんどん大事になっていくのは風刺的でもあります。誤ってほしいだけなのに法律、弁護士などによって事態を広げられていってしまいます。イーモウは最初コメディにしたかったようですが、それも分かる気がします。

クマガイ
不意討ちの胸糞でした。
今作から初めて張芸謀作品を見ましたが、良い意味でイメージとギャップのある作品でした。
たった一つの些細な事象が徐々にマクロな事象に変化していき、最終的には当人の及び知らぬ段階へ変化していく展開には目が離せませんでした。

<おわりに>

 中国の巨匠チャン・イーモウのリアリズムに徹した手腕に唸らされます。「謝ってほしいだけなのに」という行動が更にこじれさせる。青春物語かと思って観ると不意打ちを食らう作品かもしれません。

<私たちについて>

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