北野武監督『HANA-BI』孤独な刑事の生きる道
<作品情報>
<作品評価>
80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
掛け値なしの傑作です。北野武は天才ですね。キレのある編集、言葉に頼らない画面作り、突然な暴力…どれをとっても隙のない完璧な作品です。
妻が言葉を発するのは最後だけ、たけし扮する刑事もほとんど言葉を発さないのです。それでいて二人の深い愛を示すのが秀逸です。
叙情的でありながらやはりどこか乾いていて、どうにもならない人生と少しの愛が描写されます。こちらの死生観が揺さぶられるような作品です。
久石譲の音楽も叙情的でありながらどこか滑稽さもあるような旋律が素晴らしいです。
吉原
私は、たけし映画があまり好きではないと思ってきましたが、この作品は非常に素晴らしかったです。たけし映画の特徴である「キタノブルー」をふんだんに使用しており、海や雪の景色など、とにかく映像が美しいです。何度も言いますが、これが芸人の撮った映画だとは到底思えません。また、大杉漣さんが演じる堀部が描く絵も、とても素晴らしいものでした。
一見、警察とヤクザの対立を描いているので「その男、凶暴につき」を連想させる構図ではありますが、こちらの方が遥かに芸術性が高く、まるでフランスやイタリアの映画のように感じました。たけしさん演じる西と、その妻の描写が非常に微笑ましい恋愛描写だからか、よりその雰囲気を強く感じたのかもしれません。ヴェネチアで賞を取ったのも、この映画を観て納得がいきました。
ラストシーンも、今まで観たたけし映画の中で最も素晴らしいと感じました。「ソナチネ」を超えていると思います。
<おわりに>
北野武監督の代表作です。非常に美しく孤独な魂を描いています。
<私たちについて>
映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓