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赭が病院に戻る頃には夕闇が迫ってきていた。 「先生、お疲れ様です。送り有難うございまし…
つい発してしまった怒声に何事かと訝しむ葵をなんとか誤魔化し、礼を述べて玄関まで見送った…
「昨夜お前に起こった現象が、実際に統の身に起きた事だと仮定すれば、そこから異世界へ跳ぶき…
蘇芳 敬(すおう けい) Part0以来、関係者内で概念と化していた存在。今回は実体化してメイ…
いくつもの手榴弾が飛んでくるのを確かに見た。 爆風と無数の金属片を全身に受けた筈だっ…
自由落下運動が始まる時のように緩やかに……しかし一瞬で、誠の意識はクリアに切り替わった…
陽が傾いてきた。 窓から差し込む光が誠を起こさないようにと、敬はカーテンに手を掛ける。 そこへノックの音がした。 「失礼します。桑染さんの点滴、交換します」 振り返れば、自分よりも余裕で上背のある看護師が入り口にいた。 「お願いします」 言葉を返す。 夕陽に照らされた彼の姿に、看護師の動きが一瞬止まった。 「何か?」 「あ……いえ」 少しきまりが悪そうな素振りを見せたが、すぐに『失礼しました』と詫びて名を名乗り、本来の業務に戻る。医療従事者として
「おはようございます。汐さん」 リハビリテーションルームの片隅で筋トレ……どう見てもリ…
意識の奥底で、赤い髪が揺れる。 (……香琉那?) 近くに居るのだろうか。 それなら…
彼等の新しい病室……扇が使っていた個室は、不思議な穏やかさに満ちていた。物理的にも、普…
統と芥の姿を視たのは寝入ってすぐだったらしい。目を覚ませば、未だ日付が変わったばかりだ…
手の甲を何度も叩かれ、敬は漸く催眠から覚めた。 「大丈夫か?」 「……見事に左半身が重…