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草創肇希
2021年6月16日 19:40
小さな海老を飼った。いつの間にか死んでいた。 飼った瞬間は海老の事を好きだと言っていたのに、彼らはいつの間にか死んでいた。 小さな小瓶には海老と一緒にマリモも生きていた。そしていつの間にか死んでいた。好きという感情も一緒に枯れ果てていた。 またか、と私は目の前に小瓶を持ち上げた。 好きって何だろうって死骸に問いかけた。 長続きしなきゃいけないのかなって死骸に問いかけた。 貴方が
2021年6月3日 17:27
海の澄んだ青に身を浸す度に、自分が何処までも広がって拡散される。そんな心地よさを感じていた。 空も蒼い。海も青い。自分の血さえもその時だけは碧くなって、世界中に広がる水という水のその全てに自分が少しずつ混じるような感覚。 その瞬間だけ、間違いなく自分は人間ではない。そして人間という狭量な世界の、その全てから解け出して逃げられる。 そうやってただ海に横たわっていると、周りの空気が肌を撫