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草創肇希
2021年6月3日 17:27
海の澄んだ青に身を浸す度に、自分が何処までも広がって拡散される。そんな心地よさを感じていた。 空も蒼い。海も青い。自分の血さえもその時だけは碧くなって、世界中に広がる水という水のその全てに自分が少しずつ混じるような感覚。 その瞬間だけ、間違いなく自分は人間ではない。そして人間という狭量な世界の、その全てから解け出して逃げられる。 そうやってただ海に横たわっていると、周りの空気が肌を撫
2021年5月28日 10:43
フィクションですので、お気になさらず。 昔私は、リストカットをした。 その時、私は自身の血が透き通っていた事を初めて知った。 私の血は赤色ではなく透明だった。 金剛石みたいなヘンな虹色の輝きなんて無くて、ただただ透き通っていた。清水が太陽を含んだ時の純粋さにも似ていた。 それまで私は、私自身の血の色を知らなかった。 他の子の前で膝を擦りむいた時、誰か解りたくない人間に殴られ