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絶対死なない暗殺者VS絶対殺すサイコパスイケメン。Netflix「グレイマン」感想
久しぶりに由緒正しいトンデモアクション映画を観れた気がするぞ。
STORY:
兄と自分を虐待していた父親を殺して刑務所に入っていたジェントリー(ライアン・ゴズリング)は、CIAのフィッツと面談し減刑と引き換えに暗殺チームであるシエラへ加入する話を受ける。
それから18年後。ジェントリーはシックスという名を与えられ、敏腕暗殺者として知られる存在となっていた。
シックスは、ある任務で暗殺しようとしていた標的が同じシエラに所属するフォーであることを知る。
息絶える直前のフォーから、CIAの上官であるカーマイケルが働いた悪事の証拠を収めたマイクロチップを託されたシックス。
そのことを知ったカーマイケルはシックスを消すため、過激な性格でCIAをクビになったロイド(クリス・エヴァンス)を動かすことに。
世界を股にかけたシックスとロイドの戦いが幕を開ける。
良いアクションとは”語る”もの
アクション映画ってドンパチしてるだけと思われがちですが、実は極めて緻密な計算が必要な繊細なジャンルだと思います。
観客からの見やすさやアクションシーンの中でもメリハリをつけることを意識しないと、それこそ目の前でガチャガチャやってるだけという状態になりかねないわけですからね。
いかにアクションやCGのレベルが高くても、観客が置いてけぼりになっては本末転倒というもので。
その辺のバランス感覚に一日の長があるのが、本作の監督であるルッソ兄弟です。
「アベンジャーズ」シリーズのメガホンを取った彼らは、ビッグバジェットをどのように駆使すれば良いか、規模の大きなアクションシーンをどう魅せればいいかをよく理解しています。
本作のアクションシーンも、弛緩しないようによく練られていて。
ド頭の静寂の中シックスがターゲットの護衛を倒していくシーンや終盤のロイドとの対決シーンは静寂の中で、中盤の路面電車を使用したアクションや飛行機の中のシーンはド派手に。
アクションの魅せ方が全く違うので、観客は飽きることなく作品に没頭することができます。
ベタベタなストーリー&キャラ設定がサイコー
アクション映画って、ストーリーとキャラ設定はシンプルでいいと思うんですよね。
本作は、それを忠実に守っています。
主人公のシックスは驚異的な戦闘力とクールな表情がカッコ良いんですが、内には人情と悲しい過去を秘めている…というよくよく考えたら厨二病マックス設定なんですけど、カッコ良いのでオールオッケー。
守ろうとするのが子供っていうのもどことなく「レオン」ぽさがあって良いですよね。
一方で、アクション映画の敵役には「あ、コイツボコボコにしてOKだな」と観客に思わせる胸クソ悪さとキャラクターとしてどこか憎めない部分があることが重要で。
その辺、本作の敵役であるロイドはバッチリハマってました。
使えない部下や協力者はすぐ撃ち殺すし、任務のために一般人が巻き添えになろうと知ったこっちゃないし、子供にも老人にも容赦ない。圧倒的なパワハラ&サイコパス野郎。
でも、無邪気さとお茶目さがあって憎めないところもあって。キャラクター設定の塩梅が素晴らしかったです。
マジで私利私欲しか考えてないCIA幹部の皆さんやロイドの頼れる仲間となるダニ、仮面ライダーでいうおやっさん的存在のフィッツロイも良い味出してました。
いたずらにキャラクターの数を増やし過ぎてないのも観やすかったです。
キャスティングの妙がお見事
Netflix史上最大の製作費(2億ドル!)がかけられた本作は、もちろんキャスティングも超豪華。
しかも、ベタな人選というより「この人にその役やらすんだ!」という感じ。
主役のシックスを演じるのは「ラ・ラ・ランド」や「ブレードランナー2049」のライアン・ゴズリング。
アクション映画の主演は2011年の「ドライブ」ぐらいしかなくて、こういう役とはイメージが乖離している気がしたんですが、観終わるとシックスを他の人がやっているのは想像つかない。それぐらいハマり役でした。
細身なのにめちゃくちゃ締まった体躯、クールな表情に相反する人間味、時々見せるチャーミングな一面。これを如才なく表現できるのは彼以外いないでしょう。
宿敵の超サイコパス野郎・ロイドを演じたのはキャプテン・アメリカ役で知られるクリス・エヴァンス。
あんなに高潔で清廉潔白だったキャップを演じたエヴァンスが、イカれたパワハラ野郎を演じるのは温度差あり過ぎて風邪引きそうでした。
でも、無駄なイケメンさや胡散臭さが役にはピッタリ。ここまでイメージ変えれるって役者ってやっぱすげえわ。
ダニを演じたアナ・デ・アルマスもルックスを活かした役が多くてアクションのイメージは皆無だったんですが、本作ではよく動いてましたね。
動きにキレがあってカッコよかったし、やっぱり美しいです。
テーマ性は皆無、お気楽に楽しめる娯楽作
シックスの過去なんかで物語に厚みは生まれているものの、基本的にはメッセージ皆無の作品なので映画にテーマ性とか意味を求める人にはちょっとしんどいかも。
はっきり言ってアクションは現実味皆無だし、普通なら絶対死んでるだろうというシーンのオンパレードですからね。笑
でも、その分観客を楽しませようとするサービス精神は満点な作品。
お盆休みの予定がない日なんかにはぴったりの娯楽大作です。
暇な時間があったり、何か映画を観たいけど具体的に観たい作品がない方は是非。