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惜しい。もう、めちゃくちゃ惜しい。「マイ・エレメント」感想

遅ればせながら、飛行機の中で鑑賞。

STORY:
ここは火・水・土・風4つのエレメントが暮らす街。 火の街で生まれ育ったエンバーは、家族のために、大好きな父の店を継ぐ夢に向かって頑張っていた。
ある日偶然、エンバーは涙もろくてやさしい自由な心をもつ水のウェイドと出会う。 自分と正反対の彼と一緒に 初めて世界の広さに触れたエンバーは、ふと自分の新たな可能性を考え始める一私の本当にやりたいことって・・?

https://www.disney.co.jp/movie/my-element/story

今ディズニーが描きたいテーマが詰まっていて、その面ではすごく良かったと思うんですが。
ただ、ツッコミどころも色々あって気持ちが入りきらなかった、という印象です。
あと一歩で傑作になれたなぁ、という。非常に惜しい作品ですね。

まず、火と水という相反するものが惹かれ合うという内容は素晴らしいですね。
シンプルだけど、案外手垢がついていない発想。
この辺り、分かりやすく差別や共生という問題をテーマに組み込んでいます。
しかしながら、これまでの作品とは違って押し付けがましくないのが素晴らしい。

そして、夢を追うことと自立。これも、実にアメリカらしいテーマ。
終わり方は「トイ・ストーリー4」を彷彿とさせる感じでしたね。
ただ、「トイ・ストーリー4」とは違って観客が置いてけぼりになっていなくて良かったと思います。

火であるエンバーと水であるウェイドが初めて触れ合うシーンとか、最後の旅立ちのシーンとか普通にグッと来ちゃいました。

しかしながら、ちょっと気になるのがメインキャラの設定とそれに引っ張られる形になっているストーリー。

まず、キャラを立てるためとはいえ主人公エンバーの癇癪が酷すぎる。笑
ここまで不安定だと共感性に欠けるし、ストーリーで起こっている問題は大体コイツのせいなので…そう思うと中々話に入っていけない。

ウェイドの泣き虫キャラも、どちらかと言うと背中で見せる男が好きな僕的にはちょっと…
まあ、多様性を認めないとって感じは分かるんですが。ちょっと泣き過ぎだよねぇ。
二人の家族とか、その辺りのキャラクターづけは良かっただけに残念でした。

ストーリーも、テーマ性に合わせて色んな作品を組み合わせたような印象で、一本筋がないように思えた。
いくつかの物語がぶつ切りになっているように感じてしまうのが、何とも勿体無い。
これまで緻密なストーリーを売りにしてきたピクサーだけに、どうしちゃったの?という印象が最後まで拭えなかったのは残念でした。

舞台設定も「ズートピア」なんかと似ていてちょっと既視感があるし、特に目新しい部分はなし。

ただ、やっぱアニメーションの表現力は凄かったですね。
ウェイドの身体に映り込むエンバーとか、二人が触れ合った時にお互いの表面が蒸発する表現とか…細かい描写のクオリティが頭抜けていて、説得力がありました。ここはもう、世界一のアニメーション制作会社の面目躍如でしたね。

あと、日本語吹き替えを務めた川口春奈・玉森裕太両者とも声優がうまくてびっくりした。これは嬉しい収穫。
二人が好きな人だったら吹き替えで観るのも結構アリです。

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