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軽々前作越え!邦画アクションの最高峰「キングダム2 遥かなる大地へ」

いやー、想像より遥かに良かったです。

STORY:
前作の戦いから半年後。
隣国・魏が国境を越え侵攻を開始したという知らせが入り、秦はえい政の号令の下、魏討伐のため決戦の地・蛇甘平原に軍を起こす。
歩兵として戦に向かう信は、同郷の尾兄弟(尾平と尾到)、頼りない伍長・澤圭、子どものような風ぼうに哀しい目をした羌カイと、最弱の伍(五人組)を組むことになる。
魏の総大将は、かつての秦の六大将軍に並ぶと噂される戦の天才・呉慶(ごけい)将軍。かたや秦の総大将は、戦と酒に溺れる猪突猛進の豪将・ひょう公将軍。信たちが戦場に着く頃には、戦に有利とされる丘を魏に占拠され、半数以上の歩兵が戦死している隊もあるなど、戦況は最悪だった。そして、信が配属された隊を指揮する縛虎申(ばくこしん)は、無謀ともいえる突撃命令を下す。

洋画ばりの壮大さ+邦画独特の外連味のブレンドが絶妙

僕、実は邦画のアクション映画があまり好きじゃないんです。
洋画と比べるとスケール感が見劣りすることが多いし、邦画によく見られるスローモーションとか人物の表情を寄りで写す演出が苦手なんですよ。
個人的にはスロー映像や表情でエモーショナルさを伝えるのってすごく稚拙に感じてしまうし、「キャストの顔をしっかり写す」ってちょっと俳優のファンに媚びてる感じを受けてしまって。どうも好きになれなかったんですよね。

しかし、この「キングダム」シリーズはこの辺りの問題をうまくクリアしています。

まず映像。
海外の超大作と比べても見劣りしないスケール感で、合戦シーンなんかは大迫力。ワイヤーを使ったアクションも前作より巧みで、さらに自然な仕上がりに。
邦画アクションとしては「るろうに剣心」シリーズと並んで邦画最高峰の出来栄え。

そして、スローモーションや人物の表情アップですが。
そこそこ使われてるにもかかわらず、全く違和感なく観れました。
これは、おそらく「キングダム」という原作自体が良い意味で外連味の強い作品だからこそ。
邦画独特の人物の表情を見せる演出と、非常に相性が良いんですね。
見栄を切る、的なシーンも多いですしね。

結果として、洋画ばりの大迫力アクションに邦画の特徴をミックスした素晴らしい作品に仕上がった訳です。
当然計算して作っているんだと思いますが、素晴らしかった。


それぞれの役作り、キャスティングも見事

「キングダム」といえば、邦画オールスターとも言えそうな超豪華キャストも見所のひとつ。

主演の山崎賢人をはじめ、若手は清野菜名、吉沢亮、橋本環奈。
中堅に長澤まさみ、玉木宏、満島真之介、要潤。
ベテラン勢は大沢たかお、豊川悦司、佐藤浩市。
上に列挙した主演レベルのキャストに加え、映画や連ドラで3、4番手を飾る俳優も数えきれないほど出演。
ここに出ている人だけで何本映画撮れるんだ!?という豪華ぶり。笑
しかも、みんな一様に気合が入った演技を見せてくれます。

主演の山崎賢人は、荒々しさと優しさを併せ持つ信を前作よりも自然に体現。
長い手足としなやかな動きを利したアクションも見ごたえたっぷりです。

羌カイ役の清野菜名はキャスト発表時には賛否がありましたが、あのアクションを観れば納得せざるを得ないでしょう。
彼女の内面も、限られた尺感の中でうまく描写されていたと思います。

出番が少なくても、抜群の存在感で作品を引き締める大沢たかお。
「童・信」という呼び方は流行る。多分。
僕も職場で「あなた今、死地に立っているんですよ」って言いたいし(関係ない)。

信の旧友を演じる岡山天音くんもやはりいい味出してくれる。
羌カイの「だって、お前はまだ生きてるじゃないか!」というセリフがグッとくるのは彼の演技が機能しているおかげ。やはり名脇役。

吉沢亮・橋本環奈は今回は出番少な目。
おそらく次回作以降大活躍するんでしょうね。

そして、忘れていけないのは縛虎申を演じた渋川清彦。
名バイプレイヤーとして有名な彼ですが、この作品でもかなり重要な役割を果たしてくれます。

少し難癖をつけるなら、山本千尋のアクション見たかったなぁ。


無駄のない脚本が見事

僕は原作を観ていないので具体的にはわからないんですが。
後ろで映画を観ていたおそらく原作既読組と思われるカップルが、「結構はしょってたね」みたいなことを言っていました。

ただ、原作未読組の僕からしたら端折られている感は一切なく。
むしろ、テンポが良くて見やすいなと。
これまで幾度となく漫画から実写化された作品の脚本には違和感を覚えてきましたが、本作ではほとんどそれを感じませんでした。

これ、多分原作エピソードの取捨選択や肉抜きも上手いんでしょうね。
脚本に原作者の名前もクレジットされているし、1作目の成功もあってかなり実写化に協力的なんでしょう。
加えて、3作目以降の制作も前提で尺の制限も他作品に比べると緩いのも大きい。

ミスチル好きだけど、主題歌はちょっと

ここまで褒めそやした本作ですが、主題歌はちょっと微妙でした。
悲しいかな、ミスチルが合ってないんですよ。
これ、大ファンの僕が言うのもおかしな話なんですけど。笑

前作のONE OK ROCKが良すぎたっていうのもありますが、やっぱスケール感が落ちる。
ミスチルって、桜井さんの歌声もあって身近さが魅力のバンドだと思うんですよね。
「終わりなき旅」とかも壮大なメロディとアレンジなんだけど桜井さんが歌うおかげで身近に聴こえるのが良いわけで。
言葉を伝えるのに長けたシンガーだから、歌詞もひとつひとつはっきり聴きとれる。

でも、このキングダムという作品には「何歌ってるかわからないけどなんか壮大でカッコいいな」ぐらいの曲の方が合ってると思うんですよね。
本編が暑苦しくて荒唐無稽だから、曲もテンションを合わせてほしいというか…次回はできればワンオクに戻してもらえると嬉しいかな。


上映後には来年に3作目を公開するというアナウンスもあって。
制作に絡んでいる日テレの圧倒的気合を感じました。
本作の興行も順調みたいですし、4・5作目ぐらいまでは作られるんじゃないでしょうか。

少年漫画の実写映画成功例として、「るろうに剣心」に並ぶ金字塔に育っていきそうです。

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