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重いテーマと物語を受け止められるかどうか。Netflix「PLUTO」感想
良くも悪くも、観るのに気合が必要です。
STORY:
人間とロボットが<共生>する時代。
強大なロボットが次々に破壊される事件が起きる。調査を担当したユーロポールの刑事ロボット・ゲジヒトは犯人の標的が大量破壊兵器となりうる、自分を含めた<7人の世界最高水準のロボット>だと確信する。
時を同じくしてロボット法に関わる要人が次々と犠牲となる殺人事件が発生。<ロボットは人間を傷つけることはできない>にも関わらず、殺人現場には人間の痕跡が全く残っていなかった。
2つの事件の謎を追うゲジヒトは、標的の1人であり、世界最高の人工知能を持つロボット・アトムのもとを訪れる。
「君を見ていると、人間かロボットか識別システムが誤作動を起こしそうになる。」
まるで本物の人間のように感情を表現するアトムと出会い、ゲジヒトにも変化が起きていく。
そして事件を追う2人は世界を破滅へと導く史上最悪の<憎しみの存在>にたどり着くのだった―――。
優れた原作を、制約の少ない環境で自由に映像化
タイトルと一文目だけを見るとちょっとマイナス評価っぽいですが、非常に良くできたアニメ作品です。
配信限定作全体にも言えることですが、やはり尺制限と表現の規制が少ないのは大きいです。
僕は原作未読勢なのですが、この作品はストーリーが非常に面白い上、強いテーマ性を持っている。
『ロボットに感情はあるのか』というお題目に、人間とロボットの生と死、アクションとミステリー要素。すべてが高次元で組み合わされています。
これだけのボリュームを持つ物語、時間や表現に制限があるとクオリティ高く映像化するのは非常に難しいです。
地上波放送では、アニメ一話は大体30分。
OPやED、予告やCMを除くと正味の時間は20分程度です。
この作品にはぶつ切りにするのは惜しいエピソードが多過ぎるし、物語の切れ目的に一気に見切ってしまいたいセクションも多い。
本作は、Netflixオリジナルであることでクオリティの高いアニメーションと60分×8話という尺を確保。最高の原作を、素晴らしいクオリティで映像化しています。
観るのに気合が必要、ただその価値がある作品
欠点の少ない本作ですが、強いて言えば1話60分ということが非常に視聴ハードルを上げています。
しかも、単に尺が長いだけではなく物語が重く、難しい部分が多い。
尺は普通のアニメ2話ちょっと分ですが、本作を観ようとすると1話で4話分ぐらいのカロリーを消費します。一気に観るのはちょっと重いですね。
メインキャラクターがバンバン死んでいく展開も、普通に考えたら結構すごい。
今でこそ、「鬼滅の刃」なんかもあって見慣れなた感じがしなくもないですけど。
そもそもこれの原作って手塚治虫先生の「鉄腕アトム」だし、「PLUTO」の大元になったエピソード『地上最大のロボット』が描かれたのは今から60年前ですから。
その時点でこの物語の素案を作っているって、すごいことですよ。やっぱ手塚先生って天才。
個人的にはノース2号のエピソードがお気に入り
様々なロボットの悲哀が描かれる本作ですが、個人的には個人的には序盤に出番が訪れるノース2号のエピソードがお気に入りです。
戦争で散々戦ったロボットが、隠居中の天才音楽家である老人にピアノの教えを乞う。
『ロボットに音楽なんてできるわけない』と怒鳴りながらも、徐々に彼に心を開いていく老人。
育まれていく絆を描く淡々とした演出、そして最後に襲いかかる理不尽。老人を襲う虚しさ。
なんか、全部良かったです。
まず、ロボットとピアノと盲目の老人っていう組み合わせがもう詩的ですよね。設定が素晴らしいよな。
物語の本筋とは少し逸れる部分なんですけど、グッと引き込まれるエピソードでした。
個人的には全体を通してすごく楽しめたんですが、ズシリとした重さがあり人を選ぶ点と、後半に行くにつれて重さによってちょっと物語がダレてくる感じはするなぁと思いました。
でも、力の入ったアニメを観たい方は視聴しても損はない力作だと思います。
あ、ちなみに推しのロボットはイプシロンです。
イケメンな上に、人間(?)が出来過ぎてるので。