何かをやり切って、涙を流せる人生を。
15歳を過ぎてから、悔しくて泣いたことがない気がする。
18歳の時、失恋した時も。
21歳の時、部活動の全国大会で負けた時も。
22歳の時、志望していた会社に入れなかった時も。
社会人になって、仕事で失敗した時も。
記憶にある限り、泣いたことはない。
別に、僕が特別強い人間だからではない。
どちらかというと、傷つかないために予防線を張っていたのだ。
あまり思い入れを持たないようにして、うまくいかなくても「まあ、こうなると思ってたし」と自分に言い聞かせることで、傷つくことを避けてきた。
心の中で、そうやって防衛本能を備えていくのが大人なることだって思っていた。
今考えると、何て中身のなくてつまらない人間なんだろうと思う。
本当は、僕は羨ましかった。
受験に落ちて泣いていたあの子や、部活の引退で泣いていたあの子が。
僕には、あそこまで打ち込める夢がなかった。
僕は多分、今年SASUKEの予選会で負けたら泣くと思う。どこで落ちようとだ。
今回は、それぐらいの準備をしてきた。
僕は今、34年の人生で一番何かに懸けた毎日を送っているのだ。
こうやって夢を見ることができているのは、周りの人たちのお陰だ。
僕を生んで、こういう人間に育ててくれた家族。
こんな僕のことを笑って見ていてくれる職場の方々。
切磋琢磨して、諦めることなんて必要ないと教えてくれるトレーニング仲間たち。
みんなのおかげで、僕は年甲斐もなく夢を見ることができる。
何かをやり切って、涙を流す人生を送りたい。
そんな目標を、30代半ばにして達成できそうだ。