王道じゃなくても好きだと言いたい
リーズナブルどらやき買ってみよう!と意気込んでおいて恐縮だが、ここいらでとある和菓子屋のバター入りどらやきの美味しさについて語りたい。
その商品を食べたとき、「どらやきは常温冷蔵にかかわらず、ちょびっと洋風のほうが好き」という仮説が立ち上がった。それだけでなく、某コンビニのホイップ入りはおろか、某和菓子店のかぼちゃ餡&生クリームをも抜いて1位となっている。願わくば定期的に食べたいどらやきである。
しかしその一方で、「それでいいのだろうか」と思う自分もいる。
というのも、そのお店の看板商品は「洋」の要素が入る隙も無い純然たるどらやきなのだ。それを差し置いてバター入りが好き!というのも、なんだか申し訳ないような気がしてしまうのだ。
そんな配慮や忖度はまったくの無用であることはわかっている。好きなものを好きだと認めること、それを主張していくことが肝要。いくら看板商品が道南産大納言を使用し、それを三日かけて粒餡にし、生地も丹精込めて焼き上げ、賞味期限が5~6日間という繊細な逸品であっても、私はバター入りのほうが好きだと言ってもなんの問題も無いのだ。
確かに、バター入りは大納言ではない小豆を使用している。しかしこだわって選定されているのは同じはずで、製法も「風味豊か」になるよう考えられている。
小豆自体の味わいや質感を求めるのなら看板商品が適しているが、バター入り版のキャッチーな甘さながら砂糖より小豆がきちんと勝っている感じや、バターとの絡みが非常に良い粒感は、当然ながら看板商品にはない唯一無二の特性なのである。
生地だって看板商品の流用ではなく、餡やバターに合うよう考え抜かれたに違いない。具体的にどこがどのように違うのかは私の知るところではないが、食べてみた感じどこか洋風を思わせるのである。
しかしホットケーキの類を想起させるまではいかず、あくまでも「和」が主体であることを主張するかのようなバランス感覚。和洋折衷が根幹に和の存在を感じさせるのと同じである。
ついでに言うと、サイズ感のちょうど良さも気に入っている。看板商品よりもやや小ぶり、ちょうど私(小型成人女性)の手のひらと同じで、餡もずっしりしすぎない。少食な人間でも、おやつやデザートに気軽に封を開けられるのだ。
そんなわけで、わたくし三谷乃亜は、千秋庵総本家の「ばたどら」をどらやき界のTier1に位置付けたいと思う。
そうそう、「ばたどら」の特異点として、味が全3種類という点も見逃せない(逆に看板商品は1種で勝負できるという見方もあるが)。
粒餡のほか、抹茶とモンブラン。和菓子に栗はつきものだが、モンブランとなるとどこか珍しい感じがする。当然私は興味津々であり、次はそれを食べる気満々である。