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読んだら散歩に行きたくなった
その本を読んでいたら、居ても立っても居られなくなった。
よし、私も散歩に出よう。
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健康やダイエットの本ではない。北大路公子さんの新著『キミコのよろよろ養生日記』である。
乳がんを患った北大路さんが、治療の過程で失ってしまった体力を取り戻すべく奮闘する日々を描いた1冊。背景は重たいが、文章はこれまでと変わらぬ”ゆるっ”とした軽快さで、まだ半分も読んでいないのにすでに何度もふき出してしまっている。
そう、まだ全然読了していない。散歩が登場するのは、北大路さんがが体力作りのために始めた第二の施策としてである。つまり序盤も序盤。散歩がすっかり日課となり、さてそろそろ次の施策を……というあたりまでは読んだが、だからこそ「よし、私も負けてられない!」と勢いづいたのは否めない。
しかし、私にとって散歩はすでに日課となっている。買い出し含めて小1時間ほどの徒歩移動を己に課してきたが、その程度では意外と歩数を稼げないことをつい最近になって知り、買い出しそっちのけでガシガシ歩いてみたりしていた。初っ端から頑張りすぎて、半日使い物にならなくなったこともあった。
とはいえ、これまでの散歩は9割が「カロリー消費」のためだった(典型的過活動)。それが『キミコの~』を読んだ今日は、7割方「体力づくり」のために外へ出たのである。私は病院にかかってこそいないが、風によろめいてフェンスに押し付けられたり、ペットボトルが開けられなかったりする非力さをなんとかしなければならない。
こんなに意欲的になれたのは、北大路さんと「忠敬」のおかげである。
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よほどの大雨や大雪でない限り傘をさしてでも散歩に出るが、今日はザ・散歩日和だった。明るい青空に、奥が透けて見える薄い雲がふわっと浮かぶ。
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陽射しも春を思わせる温かさで、ヒートテックにモヘアニットとシンプルパーカーを重ね、マフラー&コート&手袋を装備した私には非常にちょうど良かった。風こそまだ冷たいが、びゅっと吹いても身体は縮まらない。帰路に就く頃にはすっかり春気分だった。まわりの白いものたちを目に入れなければ……。
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ちなみに初回散歩時の北大路さんは、帰りにコンビニでシュークリームを購入されていた。
そして偶然にも、我が家の冷蔵庫には昨日スーパーで買ったシュークリームが鎮座している。なんだか、お揃いのようでちょっと嬉しい。
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