結婚できない妹は、深夜、母の携帯から兄に電話する。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
午前1時過ぎ。寝入りばなに着信。ワンコールで切れた。急に目が覚めたから心臓がばくばく言っている。母からだ。
ヒロキは母にかけ直すが、出ない。
今年喜寿を迎えるヒロキの母は、独り暮らしをしている。昨年末に夜道で転倒し、右手首を骨折した。全身麻酔での手術と2ヶ月の入院を経て、現在はボルトが埋め込まれた右手を工夫して使いながら生活している。退院してから2ヶ月。何事もなく暮らしてきたが、何かあったのだろうか。