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あの世へ飛翔する栄養素 ある日の早朝、ダンとアナンはブッダが悟りを開いたという、ウルヴェ…
あの世への旅行 「お兄ちゃん!」 ふいに後ろから声がして振り返ると、その声の主は未海だっ…
再会 デス・ラボの当初の目的は死後の分析に詳しい初期仏教の論書、倶舎論をもとにAIを駆使し…
ブッダの霊魂論 ブッダは無我を説いたとされる。無我とは、常住普遍のアートマン(自己主体)…
魂の行方 ダンは夢のなかで久しぶりに妹、微笑む未海の眼差しに触れた。 彼女が自殺未遂のは…
等活地獄(地獄の永久機関) ふたりは、すり鉢状に穿たれた大地の縁に立っていた。 すり鉢は…
燃え上がる河 娘たちがレンガ造りの礼拝堂に向かって花束を捧げていた。肩越しに長く垂らしたサリーが翻り、華やかに刺繍飾りが煌めいた。風に乗って女たちの詠唱が聴こえる。気がつくとダンは空中から彼女たちを見下ろしていた。 「この村の娘たちだよ」 すぐそばでアナンの声がした。彼もまたダン同様に空中に浮かんでいた。 「きみは村の霊園の上にいるのだ」 しかし眼下では、もうひとりのアナンが脚を組んで禅定に入っている。木陰で寝そべっている男は、Tシャツとジーンズの、どうみても自分
第一部 地獄篇 死後の仮想世界 ある冬の朝、ダンはアパートの部屋で独り毛布にくるまり、ク…