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一日四時間は散歩する人に感化される

アメリカの作家・ソロー(1817-62)は、一日に四時間以上は散歩をしないと気がおかしくなると、エッセイ「歩く(Walking)」で記している。

さらに「私は元気を回復したくなると、どこよりも暗い森や、どこよりも樹木が多く、果てしなく広い、しかも町の人間にとってはこのうえなく陰気な沼地を求めてさまよい歩く」(飯田実訳)との一節に出あった。
まじかよ、とこの短編に引き込まれ、半ばから、もう散歩するしかないとまで思い始めた。

夕食後、家を出る前に風呂を沸かしておき、サコッシュにスマホと財布だけ入れて、近くの川べりを歩き続けた。
三十分ほどして疲れてきたから折り返す。正味一時間。
汗びっしょりで帰宅し、コップ一杯の水を飲み、すぐさま湯船に入る。
昇天。

ソローにとって、野性的なものにこそ、生の源泉があり、先の陰気な沼地はその好例のようです。
「散策の意味を徹底的に追究し、散策をもって人間がよりよく生きるためのすぐれた生活技術であるとしたのは、おそらくソローをもって嚆矢とするであろう」(訳者の飯田実氏)と言われる、「歩く(Walking)」。
岩波文庫の『市民の反抗 他五篇』で読めます。■