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本を作ったら、食べることと書くことがもっと好きになった|文学フリマ京都9頒布物に寄せて+当日のご案内
1/21追記:こちらで紹介しました初めてのフードエッセイ本『重箱は隅が美味しいの』について、2025/1/31まで第2刷の予約注文を受付中です。ご希望の方はこちらよりお申し込みください。
『食い意地が張っていて活字が好きなので、おいしい食べ物が出てくる本を読むと両方の欲を満たせて大変お得な気分になる。』
これはnoteを始めて2か月目に書いたとある記事の書き出しで、「こんなの書いたよ」と夫に見せたら「浮世さんの本質じゃん」と笑われ、じゃあ自己紹介代わりにしてやろうと昨年の前半ごろまでは、その記事をアカウントのトップに固定していたのだった。
書いてから時間が経ち、さすがに自分の文章も少し変わってきたので、気恥ずかしいなと思って固定記事は別のものに変えてしまったのだけれど。
食べものの話ばかり集めた本を作って即売会で販売しようなんて考えてしまうあたり、夫が言うところの「私の本質」は、2022年2月時点からなにも変わっていないどころか、強化されているのかもしれないとしみじみ思う。
2025年1月現在の私は、変わらず食い意地が張っていて、変わらず活字が好き。おいしいものが出てくる本のことも、もちろん変わらず好きだ。
今回自分でもフードエッセイ本を作るにあたって、装丁や目次の雰囲気、1編あたりのページ数なんかを参考にしようと、何かにつけて手持ちのフードエッセイを手に取っていた。
参考程度にぱらぱらめくるはずが、ついがっつりと読み返してしまう。江國香織のみずみずしい筆致にうっとりし、阿川佐和子の文章からあふれ出る人生のヨロコビに踊りだしたくなり、森下典子のおだやかな追憶のなかにまどろむ。石井好子のチャーミングさに微笑み、千早茜の意思と情熱に撃たれ、平松洋子の美意識に居住まいを正して、森茉莉の気高さに平伏する。
おいしいものと、自分と、その周りの人々の話。だいたいの構成要素は同じなのに、これだけその人の色が出るなんて、文章というのは(そして、作家というのは)すごいものなのだなあ、と、改めて思った。
同時に、すこし不安になる。これだけ素敵な本が世の中にはたくさんあるのに、私がわざわざ同じようなテーマの本を出す必要なんて、そもそもそんな文章を書き続ける意味なんて、あるんだろうか。
***
そんな風に少し気持ちを揺らしながら作ってきた本だけれど――年末に、完成した本のぎっしり詰まった段ボールが届き、その中身を手に取った瞬間、心から「作ってよかった」と思った。表紙の質感、本文の余白やフォント、そのどれもが「私の好きなやつ」だったから。
要するに私は、10月ごろから3カ月ほどかけて、自分が欲しいと思う本を作ってきたのだ、とそのとき思い知った。表紙はシンプルなデザインで、マットな質感の、少し風合いのある紙。本文の余白は広め、フォントはやさしい丸みを帯びた読みやすいもの、でも目次やエッセイごとのタイトルには、気持ちレトロで癖のあるものが使ってあると嬉しい。そして――大好きな美味しいものと誰かのこだわりの話が、ぎっしり詰まった本。こ、好みすぎる。
文章の美しさも題材の選び方も、もちろんプロの作家には到底かなわない。でもTwitterで苺のイデアを見つけた話も亀田のつまみ種を食べる順番をきっかり決めている話も、たぶん(しょうもなすぎて)私以外は書いていない。だからその話を私に読ませてくれるのは、私以外にはいない。
最終チェックのためにぱらぱらと読み進めながら、「あ、私、この本好きだ」と心から思った。3年間、書いてきてよかったな、とも。
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文フリが終わったらここに自分の本も並べるぞ!
そんなこんなで、文フリ京都9、ついに1週間後に迫りました。
noteで読める話の再録が多いので、昔からフォローくださっている方に買っていただくのは少し申し訳ないかな……とも思っていたのですが、紙に縦読みで印刷された状態、出てくる食べ物や読後感のバランスが考慮された順番で読むと、思いのほか別の味わいがあり(書いてから時間が経っているものは特に、今の私の感覚で推敲し直しているというのもあるかも)。
ずっと読んでくださっていた方は、初見とはまた違った楽しみ方をしていただけるかもしれません。
ということで、こういうことを自分で言ってしまうと「何様?」ってなっちゃうかもしれませんが、私にとっては結構「良い本」になってくれたと感じています。が、当然身内のひいき目が入ってしまってると思うので、実際のところは会場でお手に取って確認してみてください。こんな本を作ったよ! というのを見ていただけるだけでとってもうれしいので、立ち読みだけでも、ぜひ。
ここからは、当日の情報と通販に関するご案内です。
■文学フリマ京都9について+お品書き・試し読み
当日私は【こ-13 あめふらし文庫】にいます!
見本誌コーナーに行くついでにでも寄っていただけると嬉しいです。
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以下は一緒に出店する友人の分も含めてのお品書きと、書き下ろしエッセイの試し読みです。
私の本「重箱は隅が美味しいの」では、メンバーシップ割(200円引き)を実施します。お二階の皆さまにおかれましては、ぜひ会員証をご提示ください。
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【イベント概要】
🕙1/19(日) 11:00〜16:00開催
📍京都市勧業館みやこめっせ(MAP)
✅入場無料
📘文学フリマとは?
📕イベント詳細
・会場のなかは結構暑いと思われるので、体温調整ができる服装がお勧めです。
・バッグは丈夫なトートバッグか、斜めがけで身軽にするのがお勧め。
・何を買おうか困ったらまず見本誌コーナーへ!
その他、買いに行く側として準備してよかったことを以下の記事に書いていますのでよかったらご覧ください。
■通販について
文フリ翌日、1/20に通販ページをnote・Xにてご案内予定です。
送料、システム手数料などの関係で、1,000円程度の価格設定になる予定。お高くなってしまい申し訳ありませんが、よければご検討ください。
販売期間や発送時期などについては、在庫の状況を踏まえてお知らせいたします。
1/21追記:通販について詳細決定しました!
以下の記事よりご確認ください。