ご存じですか?日本人特有の体質??
遺伝、環境、栄養が病気の三大原因
どんなに健康に気を配っていても病気を完全に予防することはできません。
というのも、病気になる因子をあげると、遺伝因子が30%、周辺環境が40%、栄養が30%関わっているといわれているからです。
この3つの因子のうち、私たちが容易に変えることができるのが栄養、つまり食事です。
環境については、仕事や住所を変えることは容易ではなく、また遺伝については、現代の先進医療をもってしてもまだ不可能です。
ただ、たとえばがん遺伝子を持っていたとしても、必ず発症するとは限りません。
食生活や生活習慣に注意して、適度な運動を心がけるというような、いわゆるがんにならない生活習慣を守れば、発症の確率は低くなります。
このように遺伝は、発症の絶対的条件ではありませんが、私たちの体質を決める大きな要素です。
私たち日本人には欧米人とは異なるいくつかの遺伝的な特性を持っています。
日本人の遺伝的特性①腸が長い
そのひとつが、欧米人に比べ腸が1・3倍ぐらい長いことです。
なぜ、腸が長いのかというと私たち日本人の食歴と関係があります。
私たちは何千年と、この国にあるものだけを食べ続けてきました。
しかも、仏教の影響で肉・乳製品はあまりとってきませんでした。
米を中心に野菜、海藻、魚介類、大豆などの豆やイモ類などを食べてきました。
とくに主食である米は「難消化性でんぷん」であり、それを消化するために腸が長くなったと考えられます。
欧米食のように脂肪の多い食事をすれば、脂肪を代謝するときの副産物であるインドールなどの毒素にさらされる時間が長くなり、大腸がんなどにかかりやすくなります。
食の欧米化で大腸がんが増えたことは、この腸の長さで説明がつきます。
日本人の遺伝的特性②乳糖不耐性
さらに欧米人との違いをあげると、日本人を含めアジア人の成人は、牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素の活性が低く、これを「乳糖不耐性」といって、乳製品をあまり上手に消化することができません。
つまり、日本人と欧米人では乳製品の代謝能力が異なるのです。
その日本人が欧米人と同じように乳製品の多い高脂肪、高エネルギーの欧米型の食生活を送っているわけですから、肥満を招くのは当然のこと。肥満はあらゆる生活習慣病の要因となるだけに、日本人の特性に合った食生活の見直しが必要です。
日本人の遺伝的特性③倹約遺伝子
肥満と関係が深い遺伝子が、「倹約遺伝子」と呼ばれるエネルギーの消費を抑える働きを持った遺伝子です。
人類の歴史を振り返ると、ほとんどが十分に食べることができない、飢餓との戦いでした。
飢餓を生き延びるには、脂肪を蓄え、できるだけエネルギーを節約する必要があります。
余分なカロリーを脂肪として蓄える、誰もが持っている遺伝子に加え、エネルギーを節約する遺伝子が、倹約遺伝子です。
日本人の6割近くがこの倹約遺伝子を持っていると言われており、黒人が25%、白人が11%、日本人は欧米人に比べ、太りや睡眠族といえます。
この太りやすい特性を持った日本人が、飽食によって肥満を招いているというわけです。
日本人の遺伝的特性④すい臓の働き
前述したとおり、日本人が長い間主食としてきた米は難消化性でんぷん質を含んでいるため、吸収が遅く、血糖の上昇も緩やかです。
すい臓からのインスリン(血糖をの常食で疲弊し、肥満が追い打ちをかけ、下げる唯一のホルモン)の分泌もそれほど多くを必要としません。
言い方を変えれば、私たち日本人のすい臓は、急激かつ大量にインスリンを分泌し続ける能力を持っていないということになります。
食べたご飯がゆっくり吸収されるのに合わせて、膵臓はのんびりインスリンを分泌していればよかったのです。
糖尿病は日本人の宿命?
ところが、この数十年の間に、柔らかく消化吸収の早い欧米食や加工食品が氾濫しました。
これらを食べ続けていると、食後急速に上昇する血糖値を下げるため、す臓にかなりの負担がかかってきます。
また、現代の日本人は、倹約遺伝子によってどんどん脂肪を蓄え、肥満傾向が顕著になっています。
肥満すると、脂肪細胞からはインスリンの働きを妨げるホルモンが過剰に分泌されます。
すい臓はさらに大量のインスリンを分泌しなければならなくなります。
もともとインスリンの分泌能力が高くない日本人のすい臓は、消化吸収の早い食品の常食で疲弊し、肥満が追い打ちをかけ、その結果が糖尿病の発症の増加につながっていると考えられています。
食生活を変えないかぎり、働きの弱いすい臓を持つ日本人にとって、糖尿病はある意味、宿命ともいえるものなのです。