孤独な星に魅せられて
ひとつ、ふたつ。
カーテンの向こうには、春のおだやかな星明かり。
南の空高くには、しし座の明るい星々が集まっていて、
中でも一番明るい「レグルス」は獅子の心臓のあたりで光り輝く一等星。
そのレグルスから、そろそろと目線を下ろしていくと、ぼんやりと明るいひとつの星にたどり着きます。
「アルファルド」
うみへび座の二等星で、別名は「コルヒドレ(ヒドラの心臓)」。
うみへび座の心臓の位置を示す星です。
うみへび座については、過去に少しだけ詳しく紹介しています。
100本目の記事を執筆していた昨晩も、そして今も、うみへび座のアルファルドを夜空に見つけることができました。
アルファルドは、“孤独なもの”という意味があります。
アルファルドのまわりには明るい星が少なく、ぽつんと寂しげに輝く様子から名付けられたそうです。
私にとって、「書くこと」はずっと孤独な作業でした。
誰に見せるでもない文章を、ただ自分のために書く。
そうして書いた文章を時々読み返し、当時を懐かしんだり、過去の自分に励まされたり。
満足はしていましたが、どこか寂しいような感覚もありました。
“自分の気持ちは、自分にしか理解できない”
そんな諦めの気持ちが、心の片隅にずっとありました。
小説や詩のように「創作」した作品は、無料の配信サイトを使って投稿したこともありました。
でも、日常でふと感じたこと、個人的に興味・関心があるもの、今までに経験したことや負の感情など……
そういった、自分の心にとても近い距離にある想いを素直に吐き出した文章は、見せたことがありませんでした。
人に話すほどの過去もなければ、鋭い視点や深い考察を持ち合わせてもいない、
きっと「エッセイ」のようなものは自分には書けないし、書けたとしても他人に見せられるものではないだろうと思っていました。
でもnoteを始めてみて、意外にも「エッセイ」のような文章をつらつらと書き続けることができました。
わざわざ声に出して伝えるような内容でもないけれど、誰かと共感できたら嬉しいし、
自分の体験や考えが、落ち込んでいる誰かの心を一瞬でも明るく照らすことができたら、尚さら嬉しい。
自分の文章が、ほんの少しでも誰かの役に立つかも知れない。
そんな希望を抱きながら書いた文章が、気付けばあたたかい方々との繋がりまで持つことができるようになり、世界をぐーんと広げることができました。
うみへび座の「アルファルド」を見上げて、もう孤独に感じることはありません。
そのまわりには、見えなくてもたくさんの星たちが輝いていて、それぞれに一生懸命に光を放っていることを知っているからです。
皆がそれぞれに“孤独な星”であり、同じ夜空を生きる“仲間”でもある
そう思っています。
今もこの記事を読んでくださるあなたがいるから、私はけっして孤独ではないのです。
もしも、寂しさを感じたときには、星空を見上げてみてくださいね。
見つけた光は、きっとあなたの味方です。