短歌と春
新聞を読む時、歌壇のページに必ず目を通します。
一番最初に確認するのは、尊敬する歌人、
俵万智さんの選句です。
俵万智さんの歌集は『サラダ記念日』と『チョコレート革命』を読んだことがありますが、
素朴で飾らない言葉たちが春風のように心に流れ込み、それまで抱いていた短歌のイメージが覆されました。
とくに恋人への気持ちを詠んだ歌が、素敵なものばかり。
恋の楽しさも切なさもぎゅっと閉じ込められていて、ひとつひとつが濃厚なチョコレートのようです。
俵万智さんといえば、
現在放送中の朝ドラで主人公の幼馴染み(現在は夫)の男性に短歌の趣味があることから、俵万智さんもご自身のTwitterに朝ドラに関連する短歌を投稿し、話題になりました。
(もし朝ドラをご覧になっている方は、ぜひ検索してみてください!)
そんな俵万智さんが選ぶ短歌は、彼女自身の作風に似た柔らかい雰囲気を持つものが多いように感じます。
現代に馴染みのある分かりやすい言葉を使っていて、情景が浮かびやすく、共感できるような歌が多いのです。
評価も含め、毎回楽しく読ませていただいています。
最近は、春を迎えた喜びを歌ったものが多く寄せられています。
彩りあふれる歌の数々に、まるで紙面全体に、ぽっぽっと花が咲いているようです。
花、風、空、光......
表情豊かな春が、私の胸に美しい風景を描き出し、鮮やかな喜びとほんのり滲んだ切なさが、水彩絵の具のように混ざり合い、さまざまな色に染めてくれます。
あたためてくれるのは、暖かい気温だけではなく、人の心。
“皆さんの春、ちゃんと届いています”
そんなお返事を心の中で呟きながら。
実は、私も趣味で短歌をつくることがあります。
たったの三十一文字に思いを閉じ込めるのは難しく、大体は字数を削ることになり苦労しています。
いつか、投稿できるくらいのものを詠んでみたいものです。
梅、桃、そして桜......。
桜の開花が待ち遠しいですね。
桜を眺めながら、皆さんも一首いかがでしょうか。
2023.03.07 朝
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