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【今日読んだ本】こうふくあかの(西加奈子著)
読書記録として。
ストーリー
結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の「俺」の妻が、ある日他の男の子どもを宿す話。
二〇三五年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。
二つの話が響き合う。
(Amazonのサイト内本の概要より)
書き出し
ある日、妻に、「妊娠した」と告げられた。
俺は、腰を抜かすほど驚いた。いいや、「ほど」ではない。俺は実際、床に尻餅をつき、勢いテーブルに後頭部を強く打ちつけさえした。動揺のあまり当座は何も感じなかったが、それは次の日になってずきずきと痛みだし、無惨に腫れ、そのときの「驚いた証拠」として、長く残ることになった。
感想
書き出しからもう不穏である。
「驚いた証拠」とは何なのか、気になって、続きが読みたくなる。
そして読めば読むほど主人公のモノローグが典型的な男尊女卑で。
「妻はいつだって、俺より一段も二段も低い場所で、俺を見上げているべきなのだ」
浮気されての妊娠である。それに対して自分が嫉妬した事実を、妻に知られたくなくてのこの台詞。
うん、そりゃあ浮気されますわ。
そこにプロレスのお話が絡んでくる。
「一人の顔は猿の足の裏で、もう一人は使い終わったコーヒーフィルターのような顔」と称された、お婆さん二人組が恋バナをする横で、男たちは無言でプロレスを見ている。
その非現実な場所で主人公は、唐突に素直になる。それを、彼が勝手に人生の落伍者と決めつけている同僚は、「そうか、大変だな」と受け流す。
確かに人生は「ケセラセラ」であると思う。だからその同僚の態度はわかる。主人公は怒っていたけど。
大人なら、本気で心配してなくても,それっぽくもっと言ってあげたら?となるのかもしれないけど。
多分、彼にそんな発想がないのだ。
この同僚、私に似ていてちょっと好き(笑)
そして流石に西さんの本は面白い。
いつもなら小説は三日くらいに分けて読むのだけれど、午後から一気に読み切ってしまった。
タイトルの「あかの」はそう言う意味なんだとしみじみ思う。
私も4キロもある男の子を産んだ経験があるから、その大変さ、わかります(苦笑)
「猪木も女から生まれた」
まさにそうだよね。
感謝してなんて、本当にこれっぽっちも思わないけどね、ほんと、産むの大変なんですよ。
テーマと全然関係ないけど、誰かにそう言いたくなりました(笑)