【今日読んだ本】虹果て村の秘密(有栖川有栖著)
読書記録として。
ストーリー
推理作家になるという夢を持つ12歳の秀介(しゅうすけ)は、同級生の優希(ゆうき)と虹果て村で夏休みを過ごす。「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに、男性が密室状態の自宅で殺害される。折しも土砂崩れのため犯人と共に村に閉じこめられた二人は知恵を振り絞り謎に挑む! 本格ミステリの名手による珠玉の推理。
「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに発生した“密室殺人”の謎に少年&少女探偵が挑む!
懐かしくも新しい本格ミステリの逸品。
(Amazonのサイト内本の概要より)
書き出し
「やっぱり『白いレガッタ』はいい」
隣の席で優希がつぶやく。イヤホンをはずしながらひとりごとを言ったのだ。今日の優希は大きな襟がついた水玉模様の白いワンピースを着ている。よそいきの服なのだろう。いつもとちがって、お嬢さんみたいだ。お嬢さんは音楽を聴きながら、すだれのような前髪を、ふうっ、と吹き上げたりしている。
感想
「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランドという叢書のために書いた自分自身初のジュブナイルミステリーです」
とあるように、有栖川有栖さんのジュブナイルです。
小学生2人の夏休みに、主人公のクラスメートの母親の出身地の田舎町虹果て村で過ごすために遠くまでやってきて、そこで殺人事件に遭遇します。
主人公は刑事の息子で推理小説作家希望の秀介。その友達の優希は、売れっ子ミステリー作家ミサトの娘で、将来刑事になりたいと夢見ています。
ミサトのいとこである明日香と、偶然、村に居合わせた若い刑事の光。
虹果て村に伝わる虹の伝説と絡めて、小学生二人が光に協力しながら、推理していくのですが。
なんともワクワクして、自分が夏休みにとんでもない体験をしてしまったような気持ちにさせてくれます。
それは、殺人事件と言う危険なものではありましたが、美しい村にふさわしく、最後まで清々しい物語でした。
作家志望の秀介は、何度もミサトの言葉を思い出します。
例えば
「小説家は、一人ぼっちの孤独な仕事だから、人から褒められた、けなされた、と喜んだり沈んだりしていてはだめ。世界には、自分と原稿用紙しかない、と思って、堂々と書きなさい」
これは、作家としてだけではなく、いろんな職業や目標に言えること。
あらゆる人から褒められた、けなされた、と喜んだり沈んでいたりしてはダメ。
世界には、自分と〇〇しかないと思って、堂々とやりなさい。
例えば野球選手だったら、自分とバッドとボールしかない、とか。
そんな気持ちで向き合う。
当たり前なんだけど、改めて言葉にすると、とても強い支えになると思いました。
推理小説ではあるけれど、少年少女が読んで、自分で未来を切り開く力をもらえるような、自分の夢を笑われても、自分が自分のことを信じていれば良いと思えるような、そんな物語です。
もちろん推理小説としても充分面白くて、一気に読んでしまいました。
ジュブナイルや児童書も結構好きなのです。
本をたくさん読むようになったのは小学生の後半から中学時代で、当然ですが、あの頃読んでいたのは、ジュブナイルが中心ですから。
そういえば、ゲッターズの占いによると、私は小学校5、6年生の男の子の星が入っているようで(笑)
実際に好きな漫画を並べてみると、ほぼ少年ジャンプの作品でした。
恋愛ものより冒険者が好きですから、良い大人なのに、いつまでたってもジュブナイルを読んでワクワクしてしまうのです
そんな少年少女のわくわくをいつまでも持ってしまっている人に特にお勧めです。