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【今日読んだ本】お探し物は図書室まで(青山美智子著)
読書記録として。
ストーリー
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。
(ポプラ社のサイト内本の概要より)
書き出し
彼氏がてきた、と沙耶からラインが来たので「どんな人?」と訊いたら、「医者」とだけ返ってきた。
私は「どんな人」なのかを質問したのに、性格や外見をすっ飛ばして、職業。
医者にもいろいろいるだろうに。
感想
この物語は5章にわかれていて、それぞれの章の主役たちが全員、たまたま市民が利用できる「図書室」(図書館ではない)にやってくる。
みんな漠然と何かを探していて、司書さんのその言葉と、勧められた本に導かれて、大切なものを見つけていく。
小さな町だから、各章の主役たちが別の章で登場してきて、あの後こうなったのねとか、ついにっこりしちゃう。
好きだなー、こういう小説。
「何をお探し?」
その声に捕えられた。
抑揚のない言い方なのに、くるむような温かみがあって、私は去りかけた足を止めた。にこりともしない小町さんから発せられるその言葉は、どっしりとひた不思議な安心感があった。
毎回この「何をお探し?」の言葉に、人は心を揺り動かされてしまう。
私は何を探しているの?と。
1章の中心人物の朋香が転職したいと告げると、司書さんに今の仕事は?と尋ねられる。
「たいした仕事じゃない」と答えると、それはどうかしら的な反応される。
朋香は、違う人にも同じ反応をされたことを思い出すが、どうしても、スーパーの洋品店の仕事を、たいした仕事だとは思えずにいた。
沼内さんは、素晴らしい仕事をした。本当にそう思った。
エデンの婦人服販売員が「たいした仕事じやない」なんて、とんでもない間違いだった。単に私が「たいした仕事をしていない」だけなのだ。
あんな未来になるなんて嫌だ。
そう勝手に思っていた、なりたくない未来の見本のような55歳のパートの沼内さん。
だけどそんな彼女に、クレーマーのお客様から、完璧な形で助けられた。しかもそのクレーマーさんの気持ちに寄り添い、最後は満面の笑顔で商品を抱えて喜んで帰って行ったのを見て、そう思う朋香。
そう気がついて、目の前のことをしっかりやっていこうと明るい気持ちになる。
「いつかって言っている間は、夢は終わらないよ。楽しい夢のまま、ずっと続く。かなわなくても、それもひとつの生き方だと私は思う。無計画な夢を抱くのも、悪いことじゃない。日々を楽しくしてくれるからね」
2章では、いつか叶えたい夢があるけれど、仕事や日常に追われ、準備もままならず、いつか、いつか、と先延ばしにしていた諒が司書さんに言われる。
本をきっかけに出会った人の言葉や、夢のために努力する恋人を見て、気持ちが切り替わっていく。
「いつか」が「明日」になる。
ラストのこの言葉,ジーンとしちゃったな。
私もいつかを明日、いいえ、今日にするためがんばろって思える。
3章では、
私たちは大きなことから小さなことまで
「どんなに努力しても、思いどおりにはできないこと」
に囲まれて生きています。
というこの章の主人公が読んだ石井ゆかりさんの「月のとびら」に出てくる一節に気持ちが動く。
石井さんは、本を書いたりする前から星占い(筋トレ)を読んでいて、そのうち書籍が出て、どんどん活躍されていくのを見ていたから、順風満帆に進んでいたと勝手に思っていた。
あんなにキラキラ輝いて、やりたいことをやっているように見える石井さんも、こんなふうに思うような経験をしたのかな、と。
よく考えれば当たり前だけど、努力なしで夢が叶うわけない。
なのに、夢を叶えた状態の人を見ると、それまでの努力を想像しないで、いーなー、なんて思ったりする。
みんなそれぞれ、自分がやってきたことの先を生きているだけなんだよね。
朝や夜は「来る」ものじやなくて、「行く」ものなんた。
これは目から鱗。
黙って待つんじゃない。こっちから迎えに行ってやれ。
主人公たちが本をきっかけに前向きに行動していく姿に、とにかく元気になる。
私は基本的に本だらけの自宅の本棚にスペースがないので、買わずに借りるのだけれど。
これは何度も読みたくなるので,買っちゃおう。
そして、本好きあるあるだけど、好きな本に出てきた書籍のタイトルはしっかりメモり、「今後読むリスト」に入るのですが。
今回も収穫はいっぱいありました😆
超超お勧めの一冊でした。