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【経営メモ】社員に不評のマイクロマネジメント。チームを率いるヒントとなるManagement by walking aroundという手法。

マイクロマネジメントという言葉は、よく社員から上司や管理職への不満の言葉として取り上げられる。
部下の人からすると、上司がなんでもかんでも自分の仕事範囲内に入ってきて、ああだこうだと言われるのは、面白くないというのはよく耳にする話である。

ググると、
「マイクロマネジメントとは、上司やリーダーが部下に対して細かすぎる管理をするなど、過干渉を意味する間違ったマネジメント手法です。
マイクロマネジメントは、社内の人間関係を崩す要因の1つとして、危険視する企業も増えています。」

とでてくる。

一方、経営の神様と言われる、稲盛和夫さんの著書「人を生かす」によると、社長のマイクロマネジメントを強く奨励している。
以下その抜粋となる。

社長が400人という社員を心血注いで見なくてはならないのです。そのためには、社長が自らその組織の中に入っていく。つまり、会議などにもすべて出ていくのです。(「人を生かす」41ページ)

トップが現場を知り、知ったうえでガンガン追及し始めると、今度は社員と社長との人間関係がささくれ立って、雰囲気もギスギスしてきます。
しかし、そういうことに同情していては、経営になりません。(「人を生かす」55ページ)

・結局のところ、トップ自身が現場をよく分かっていないとダメなのです。わかって厳しい追及しているから、毎日の朝礼で昨日の結果を発表したら、効き目があるのです。そういう追及がされていないのに朝礼で話をしても、それはただ意味のわからないお経を誰かが読んでいるみたいなもので、何もならない。(「人を生かす」52ページ)

社長のマイクロマネジメントを短絡的に、良いか悪いかを決めつけることは、当然できない。
会社の業績状況や、業界の種類、さらには、時代の流れ、会社の文化などにより、マイクロマネジメントでパフォーマンスがでて、社員の幸福につながったり。はたまた、社員の不満が貯まり、パフォーマンスが落ちたり、組織崩壊になったり、ケースバイケースだ。

世界の働き方と比べると、日本の働き方はマイクロマネジメント型であり、欧米はマクロ型が多い。そもそも日本は、業務内容が細かいために、チェックする、若しくは、チェックできる項目が多い。

一方、世界はVUCAの時代に入って来ている。変化が早く、不確実性が高く、過去の成功例が当てはまらないケースが増えてるかなで、前線の社員の動きが重要度を増し、更には、新しい考え方を持つ若い世代の知見がより重要になっている。
そういった、環境を考えると、マイクロマネジメントがだんだんとワークしなくってくる。

そうは言っても、毎月会社はちゃんとお金を稼がないといけないので、
私のお勧めは、会社にとって肝なところ、毎月の利益分析、業績の悪い部門、オペレーションの質が落ちている部門に関しては、がっちりマイクロマネジメントを行う。

それこそ、その関連の会議にはどんどんでていく。若しくは、自分主催の会議を開く。
疑問があればストレートに発表者の上司に向けて質問をする。その場で要領を得ない場合は、後で私に必ず報告い来るようにお願いする。

業績がよいもの、オペレーションが安定している部門に関しては、私は、Management by walking aroundというスタイルをお勧めします。

安定した部署の会議もinvitation入れてもらっておくが、私は参加したり、しなかったり。若しくは遅れて参加したり、途中退席したり。
要するに、社長はふらっと参加するという雰囲気にしておく。
そして、会議中に意見を言うにしても、直接指示を出すような意見はなるべく言わず、後で皆で相談してみてという感じにする。(私への相談結果報告は不要ということ。)

マイクロマネジメントと、management by walking aroundを組み合わせる事により、稲盛和夫さんの熱い経営と、社員のストレスのバランスを取るというのが私の戦法であった。

私の行ったmanagement by walking aroundの具体例は以下の通りである。

私の海外販売子会社は、カメラ製品をカメラ専門店に販売していたが、自社でも直営店を4-5店舗持っていた。
私は本社勤務の直営店課長やその上司の部長と同行することなく、自分の時間のある時に、ふらりと直営店を訪問する。

店頭は、お客様がカメラを手にとって自由に試し撮りができるように設計されている。ところが、いざ私が店頭で試してみると、カメラ本体にバッテリーが装着されていないために、写真を撮ることができない。

こういう時に、店長/店員を呼びつけて、「バッテリーが入っていないじゃないか、今すぐバッテリーを入れなさい」とか言ってはいけない。
Managment by walking aroundの時は、極力直接指示/命令するような発言はしないのがポイントとなる。

この場合は、まず「どうして、バッテリーを入れていないの?」聞く。
すると店長が「最近、バッテリーが盗まれるケースが起きているので、バッテリーはレジの横に置くことにして、お客さんから要求があった時に、店員がバッテリーを持っていくことにしています」と答える。

私の頭の中には、直営店1店舗のコスト4,000万円/年が頭に浮かぶ。
電池のコスト3,000円の盗難を防ぐために、貴重なお客さんのブランド体験を逃しているのは、もったいないという考えが浮かぶが、敢えて、それを店長にそのままは言わない。

店長/店員には、直営店はお客様にブランドを体験してもらうとても大切な場所であること、そのためにメーカである我々がコストをかけてわざわざお店を持っていることを伝え、バッテリーの盗難を防ぐのも大切な事だけど、顧客のブランド体験も大切なので、次のweekly meetingで部長/課長ともこの件を議論してみて、とお願いする。

そうすることによって、私が忙しく全てのお店を回て、直接指導しなくても、直営店部隊の人たちが自分達で議論をして、多少盗まれる事があっても、顧客のブランド体験を優先して、バッテリーを常に装着するということになる。

そして、managment by walking aroundで、私は現場で起きていることを自分の目で直接確認することができると同時に、私の部下である部長や課長は、社長がやたらと自分の仕事を邪魔すると感じるストレスを減らすことができる。

ちなみに、今回のbatteryの件は、私が台湾で働いていた時の実話だが、最終的には直営店部隊は、なんと、カメラ本体に装着できる、バッテリーの盗難を防ぐ器具(簡単なプラスチックでできたもの)を自作して対応したのあった。
そしてその留め具は、台湾に留まらず、日本、マレーシア、韓国など他国の直営店でも活用されることになった。
あの日、マイクロマネジメントで延髄から、「すぐバッテリーを入れなさい」と直接指示をしなくてよかった。
私の頭では、盗難を防ぐ器具を作るというアイディアは全く出てこなかった。

マイクロマネジメントとmanagement by walking aroundを組み合わせての会社運営について書きました。











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