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#290 「二択思考」は不幸の始まり。物事には0〜100のグラデーションがある

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

昨日に引き続き、精神科医 樺沢紫苑先生の「言語化の魔力」から、着想したこと、考えを深めたことについて、ご紹介します。
前回記事をまだご覧になっていない方は、こちらもぜひお楽しみください!

スタエフでも話してますので、音声の方が聞きやすい方はこちらからどうぞ!

樺沢紫苑先生の「言語化の魔力」はこちらの本です。

悩みの原因は「コントロール感」

本書では、「悩み」の特徴について、3つ挙げています。

1.「つらい」というネガティブ感情
問題やトラブルに直面した際、「つらい」と感じるかどうか。同じ問題に直面しても「つらい」と感じなければ悩まない。逆に言うと、悩みを解消するのに、問題やトラブルを解消する必要はない

2.対処法が分からない「どうしよう」

人は、対処法が分からないと、閉塞感が出てきてさらに追い詰められて混乱する。解決策さえ分かれば、悩みは9割解消されている

3.思考停止状態の「どうしようもない」
絶望感を覚えて立ち尽くしている状態。「停滞状態」が少しでも改善すると、途端に絶望感は消えていく

多くの人は、悩みに直面すると、根本的な解決を求めて原因を取り除こうとしますが、根本原因を取り除く必要は全くないと言うことです。先日の記事でも「ポジティブよりニュートラルな姿勢で、やれることを一つずつやっていくだけ」という話をしましたが、原因は保留でよいです。

そして、これら悩みに共通しているのは、「自分でコントロールできない」ということです。例えば、「反論や議論の余地がない」、「融通が効かない」、「裁量権がない」などの理由で、やりたくないことを無理やりやらされている状態。
育児や介護で悩んでいたり、ストレスを感じたりすることが多いのは、まさしくコントロールできないことが多いからでしょうね。

逆に言うと、自分でコントロールできることは、ストレスにならないということです。

そして、実際にコントロールできているかどうかは別にして、コントロール「感」があれば大丈夫です。福岡産業医科大の研究によると、仕事の裁量度が低いグループは、裁量度が高いグループと比較して脳卒中発症度が4.1倍にもなったとのこと。同じ仕事でも、「コントロールできている感覚」があるかどうかでストレスの感じ方は変わります。

コントロールは「できる・できない」の二択ではない

よく考えると当たり前ですが、コントロールは「できる・できない」の二択ではないんですよね。
音量ボリュームのごとく、0〜100までグラデーションされています。

自分一人ではすぐに解決できない問題にぶち当たったときも、「1日ではできなくても1週間あればできる」とか、「知っている人に聞けばできる」とか「その問題はできないから他の人にお願いしてしまう」とか「その問題の重要性は低いと判断して放置する」とか、色々な選択肢が出てきます。

それが、たいてい「悩んでいる」状態の時には、「つらい」「どうしよう」「もう無理」となっているので、一種のトラブル状態のようになり、「この問題が解けなければ、自分には向いてないので、もう辞めるしかない」というような、極端な二択思考が生まれるのです。

物事は全てAかBか、ではなく、CもDもある前提で考える。あるいはA'、A"のように、Aに似てるけど部分的に違う、みたいな「似てるけど、ちょっと違う」選択肢もあるという前提に立つこと。これが、二択思考ではなく、グラデーションを持つということです。

「二択思考」は、人を不幸にしかしない

「連絡の行き違いでクライアントが激怒!私は悪くない。悪いのはすべてクライアント」と考えるのも、「問題の責任は、自分か相手かいずれか」という極端な二択思考の例です。

多くの問題にとって、いずれか片方だけが100%悪くて、もう片方は全く悪くない、みたいなことは、まぁないですよね。
それなのに、「責任の所在はこちら側」と決めつけようとするから、不毛なリスクの押し付け合いや、何かあった時の責任の押し付け合いが発生します。

このプロジェクトが成功か失敗か、みたいな話も、時間軸の中で変わってきますよね。
短期的には、色んな人が無理をして何とか完了させたプロジェクトが一時的に「成功」と認識されたとしても、長期的にはその仕組みを持続させるための人の無理が効かなくなって、愛想を尽かして離れていけば「失敗」ということになります。

だから、他人の「成功事例」というものをただ集めてみても時間の無駄だし、目の前でやるべきことの目的をいかに達成するか、を地道に自分の頭で考えてくしかないのです。

何でもかんでも白黒ハッキリさせる、というのも同じです。
全てがルール化されて規定されていることは一見「管理がされている」ように見えますが、外的環境が変わったときに対応できませんし、何でもルールに従っていればよいという「思考停止」に陥るため、「ケースに応じて最適解を判断していく」という人の判断能力が落ちていきます。

何でもかんでも「これやったらペナルティ」と決めてしまう「ペナルティ文化」も、短期的な再発防止にはなるかもしれませんが、中長期的に組織や業界が良くなることはないと考えています。

0/100思考は、人を不幸にしかしません。
YesかNoか、善か悪か、みたいな話も同じです。

本来、技術革新やイノベーションは、それまで物理的に限られていた選択肢にグラデーションを持たせることにこそ価値を発揮するのに、それを選択する我々人間側が、思い込みや保守的になり過ぎて結局極端な選択しかできないとすれば、何のための発展、成長なんでしょうか?

0〜100のボリュームを回すイメージで

じゃあどうすればいいの?となるわけですが、「やれることをやっていく」だけ、これに尽きると思います。

日々の悩みに対する向き合い方も、「上司とはソリが合わないから我慢するしかない」と極端に考えることも一つの選択肢ではあります。

でも、その選択肢しかないから「日々つらい、悩んでいる」だけでは、せっかくの人生なのに勿体無いと感じるのであれば、「上司が達成してほしそうな成果を出してみる」、それで人間関係が変わるか試してみる、というのも、選択肢のグラデーションになるでしょう。

相手は変えられないけど、相手との関係性は変えられる、というやつですね。

あるいは、上司とはどうにもソリが合わないから、上司が変わるまでは会社での時間を必要最低限にして、会社以外のところで過ごす時間に投資していく、というのも選択肢になり得るでしょう。

もちろん、上司の上司に相談して、上司を変えてもらうというやり方もありますし、自分が転職や異動するという手もあります。

このテーマ1つをとっても、0/100での二択思考では「上司を変えるか、自分が出るか」という選択肢しか見えずに悶々としてきますが、「やれることをやる」思考で選択肢にグラデーションが出てくることで、微調整ができてきます。

これは、悩みや不安などのメンタル面でのマインドセットだけでなく、あらゆる問題解決のシーンでも適用できる考え方です。

「こうするしかない!」と感じたら、0〜100の音量ボリュームを回せているか?と自問自答してみるだけで、突破口が見えてくることもあるのではないでしょうか。

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林 裕也@IT企業管理職 ×「グローバル・情報・探究」
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