憂鬱な季節
It’s the happiest time of the year…
海外ではよくそう言われている。でも、私にとっては年末年始は気鬱な季節だ。これについては、いろいろな理由があるけど、4年前にあった事件が一番心に刻まっている。
TW:トリガー警告
2017年。
なにもいいことがなかった年。好きな人に断られて、深い傷に痛んでいた。
鬱傾向がある私にとっては、この事実を受け止めることがなによりも難かった。
自殺を深刻に考えていた。このビルから飛び落ちるといい。場所を決めといた。
夜の方がいい、寒い季節の方がいい。私の死に方に執着していた。
それにもかかわらず、12月までどうにか生き延びた。家族もいたし、かわいい姪子二人と甥子一人もいた。長女のユウコ、長男のタカシと、末っ子のシズ、みんな七歳未満で元気いっぱいの子供達だった。
この子たちの無邪気な笑顔をもう一度見たいと思っていた。これで最後のお正月と感じてた。
大阪に住んでいるお姉さんのアリサも実家に参った。子供を扱っているお姉さんの名前はミイナ。そして、おばあちゃんもそこに住んでいた。お父さんは別荘している。
家族が揃って、お酒と年越しそばで盛り上がっていた。
夜遅くなってから、お祝いの雰囲気に変な風に変化が起きた。
酔ってた、ミイナの夫がちょろちょろ歩き回り、変な行動が始まった。はじめは、子供をおもちゃで打った。ふさげぶりでやってたが、私に思うのは、そんな行動はふさげではないに当たり前だった。でも、口をつぐんだ。
そして、今度ミイナ・俺のお姉さんに向けて、腕を背中の後ろに捩じった。
これは痛い行為で、間違えたら手骨が折れる。
これはもうやりすぎで、こちらが腹立ちした。
次の瞬間はすごく早くて、頭が回る前に腕が動いた。
姉の夫の方が私を殴った。次、髪の毛を引っぱろうとした。
カッコつけてる訳ではないけど、私は空手の黒帯なんだ。
だから、殴り合いには強い方だ。
背負い投げして、彼は床に落ちた。
その時、殺心が沸いた。
手を彼の首の周りに巻いた。
殺したかった。
なぜ、辞めたか分からないけど、その数秒後、騒ぎで起こされたお母さんが寝室から出てきて、ベルが鳴ったように。
口論はつづいたが、しばらく経ったら、彼は2階に上がった。
アドレナリンが血に通っていて、30分は頭は真っ白。
子供達はまだ部屋にいた。ユウコは泣いて避難場所に逃げた。タカシは寝てたか、寝てるふりをしてた。一番小さいシズは呆然として、体が固まってた。
「シズ、お姉ちゃんのいる場所にいって」
と声掛けた。
驚いた顔のまま、言った通りに階段を上がった。
ミイナ、被害者のお姉さんは後で、お母さん、アリサと私に話した。
こういうことはたまにあるのだって。
夫は暴力を振り回すのも初めてではない。2回警察に審査の対象になったこともあったと言った。
ようやく、私も分かった。私のお姉さん、私の血がつながっている姉はDVの結婚をしてた。
(って、Abusive relationshipという言葉、日本語でないの?)
そこで、私は決めた。別れるまでには、この家族とは無縁にするって。
だって、それしかできない。この結婚を認めることはこれ以上できない。
離婚するしかない。
ミイナはそんなこと考えられない。経済的に困るなんとか言って、言い訳を作る。
その日から、私が大好きな姪と甥子たちと手を切ることになった。
だって、この子の父とはもう見たくないし、ミイナはバカだし。ここから離れることが一番いいのだ。
だって、次回は自分をコントロールできなくて、本当に殺人事件になる可能性も高い。
離婚するまでは戻らないと言った。
お母さんもそのお家に住んでるから、巻き添え被害というか、お母さんにも会えなくなった。
それが、もう5年前だ。
まだ、あの二人は同棲。
姪と甥は大きくなってきただろう。
年取ってきたお母さんにも会いずらい。
そのお正月からは、年々この季節が一番嫌いな時期になってた。
今年も独りで年を越えるつもりだ。
*名前だけは変えたけど、これは実現に起こった話です。この思い出はまだ心痛いもので、いつもより美辞に書けなかったかもしれない。今日は特に辛くて、この文書を吐き出したみたいな感じ。全然、プロの小説家らしくないけど。