世間体と社会性 使命を貫く勇気をもとう〜ドクターXを見つめる視点から〜
「医師免許のいらない仕事は致しません」
僕はドラマ、ドクターXが大好きです。
主人公の大門未知子を見ていると胸がスカッとする。
はまって観ていた時には気づくことはなかったが、最近、その魅力の秘密が少しわかったような気がしている。
それは何か
それは
「世間体と社会性」
なんですよ。
大門は、とにかく、群れることを嫌う。
上司に媚びへつらうこともしないし、場の空気を読んで行動することもしない
もし、身近にこんなタイプの人がいたら
確実に、
「嫌われ」「排斥」されてしまうだろう
だが、視聴者の目にはそうは映らない
なぜか、
それは
患者に対して、どこまでも真剣で、真摯に向き合うからである。
時に行き過ぎた行動で、患者の気持ちを損なうこともある。それが元で、周りに非難されることもある。
ただ、「医者の使命は患者の病気を治すこと」だと自負し、そのためにはいかなる苦労も手段もいとわない。
世間体ではなく、社会性をもって自分の職務を全うしているのだ。
そんな姿に人々は憧れを抱いているのだと思う。
一方で実社会はどうか
言われたことを忠実にこなす能力
周りの空気を読んで行動する力
そんな力が重宝され、
「〇〇の方がいい」
などと、自分の意見を言おうものなら同調圧力の前に屈する他はない。
自分が何をすべきかを考えて行動することよりも
周りの目を気にしながら、いかに問題を起こさないように、波風を立たせないように生きることの方が大切
多くの人はそう思っているのではないか
だからこそ、大門に
「自分にはできない!」「すごい!!」
という憧れを抱くのだ
だが、
「自分にはできない」
「これはフィクションだからそんなことができるのだ」
などという気持ちでいつまでもいていいのだろうか
平成元年。
世界の中で日本は一際輝いていた。
世界時価総額ランキングでは、そのほとんどを日本企業が占めていた。
個人的な意見だけれど、和を重んじる特徴や勤勉な国民性があったからこそ、戦後の日本をここまで成長させることができたのだと思う
では、今はどうか
みなさんは
ランキング10位以内に日本の企業は何社入っていると考えるか?
答えは
0
衝撃的な結果だ
そして、ランキング上位の会社には
いわゆるGAFAと呼ばれる4つの企業ももちろん入っている
そして、その全てがここ30年ほどで誕生し、急成長を遂げた企業なんですよ。
この30年間
日本は何をしていたのでしょうか、、、
話を戻すと
その一因の中に世間体を重んじすぎるあまり、強い個が出てこれないということがあるのではないかなって思う
こっちの方がいい
こういうのやってみたい
という思いを
黙ってこれをやっていればいい
そんなことやったってどうせうまくいくはずがない
そういう希望を打ち砕くような言葉を散々浴びせられて諦めてしまう
そんなことが無数にこの国の中で行われていたのではないか
宇宙を夢みた植松努さんも、きっと、、、
だからこそ、「世間体」と「社会性」について立ち止まって考える必要があるんじゃないかな。
自分自身、多忙を極める仕事をこなしていく中で、
なんのために教師をしているのかという問いに向き合ったことがある。
その時出た答え
それは
「子どもの満足度」
じゃあ、それに直結しないものはしなくてもいい
そう思い、行動するようになると恐ろしいほどに周りからの反発や圧力があった
「じゃあ、なんのためにそれをやっているのですか?」負けじとそう返すが、本当にしんどい。めんどくさい。。(あ。これは単なる愚痴です。はい。)
まあ、そんな自分自身の思いもあり、
子どもに指導をしている最中に
今自分が指導しているのは
「世間体」を大事にさせようとしているのか「社会性」を育成しようとしているのと考えるようになった。
え?
じゃあ、具体的にどんな場面で世間だの社会だの考えるの?
例を挙げてみると、、
教師のみなさんは自分のクラスを
会社勤めの方は会議の場面を想像してほしい
一体、何人の人が発言をしていますか?
もちろん、発言しない要因なんてたくさんある。
でも、小学校の低学年の様子を見ると
ほとんどの学校で元気よく挙手をして発言しているんじゃないかな
じゃあ、なぜ、年齢が上がると発言しないのか
それは、
変に周りの空気(世間体)を読む力がつく
周りに変なやつだって思われたくない。笑われたくない。
どうせ言ったって自分の意見なんて通らない
そういうマイナスの感情が生まれてしまうからではないか
ただ、社会的に見たとき、自分の意見をもち、それを表出するというのはとても大切な力だ
大きい話をすれば、この国は民主国家で、国民主権をうたっている国。
みんなで話し合い、より良い方向を模索し進んでいくっていうのは至極大切なこと。
そう考えると、話し合いの場面で、自分の考えを話せるというのは「社会性」を育成していく上でとても重要なことなんじゃないかなって思うんだよね。
だからこそ、自分は発言にこだわる。
「馬鹿にする奴がいたら、俺が絶対に許さない。」
「頑張ろう、やろうとする気持ちをもっている人のことを全力で守る」
そう伝え、実際に指導を続けている。
高学年だと、なおのこと今までのマイナスな体験があるので、すぐに発言は増えないが、徐々に、確実にその人数は増えていく。
一歩前に出る喜びを知った子どもの成長は本当に著しい。
「やればできる」
「間違えたって、それを経験にすればいいんだ」
そう純粋な気持ちで前を向く子どもたちの力を目の前にすると圧倒される。。。
こういう経験を少しでも子どもたちにさせることが、この国の、この社会をつくっていくんじゃないかな。
僕は本気でそう思っているんだよね。
話は少しそれたけど、これが「世間体」ではなく、「社会性」を育てる視点ってわけ
ただ、そう自分の中で手応えを感じることが増えても
自分自身が感じる「世間」からの反発は変わることがない
なぜなのか、、そうしてなのか、、
ふと、「ラストサムライ」を観ていた時、
「日本らしさ」ってなんだろうって思った
「和」を重んる日本
それが日本の良さで、そのために世間体が重要なのだとしたら、、
実際はこの国に「社会」はなく、「世間」だけがあるのではないか、、、
そう思ったとき
日本は静かに消滅していく他ないのかな、なんて思ったりもした。
それはわからない。
二回り年齢が上のJICA(ジャイカ)の方と飲む機会があった。
自分の知らない世界のこと、仕事の世界を知ることができ、とても楽しかった。
その中で
「僕は、日本がこのまま終わるとは思わない。歴史上、大変なこともたくさんあったけれど、日本はその度に乗り越えてきたのだから。」
世界で仕事をしてきた人の言葉は重かった。
そう
この国の未来を担う子どもたちと直に触れ合っている僕らが諦めちゃダメだよな。
そう思い直して今も頑張って教師やっているんだけどね。
この文章を読んで
「そんなこと言っても、まず何をすればいいんだよ、、」
そう思っている人に言いたい
今この瞬間からできることはある。
それは、
世間のためではなく、社会のために生き、何かをなすこと
そのためには
なんでもいい
自分がこの方がいいって思ったことやってみよう
周りの目なんか関係にない
どうせすぐに忘れる。
あなたの人生の主人公は紛れもなくあなただ
あなたがそのストーリーを決めていいんだ
そして、その気持ちや行動が
「何か」のためになった時
それは社会的な使命を帯び、
周りを巻き込んでいく原動力になるんだと思う。
少しずつ、仲間が増えていった
大門未知子のようにね
あなたが大切にしているものは
世間体ですか?
それとも、社会ですか?
特に、教育に携わっている人は
一緒に考えてほしいな。
今日はこれでおしまい。