‘’ばいきんまん”に理想の上司像を見る
娘が生後半年にして映画館デビューをした。
トーホーシネマズでは「ベイビークラブシアター」といって、赤ちゃん連れ客のみの上映をしてくれている。めちゃくちゃありがたい。
初めての作品は『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』
アニメのアンパンマンをほとんど見せたことがないのだけど、新生児から使っているおもちゃによってアンパンマンは認識済み。
映画の冒頭で三曲もカバオくんたちが踊ってくれて、その後アンパンマンがお決まりのやつをやってくれたので娘も釘付け。いやー、アンパンマンってやっぱりすごい。
その後オムツ交換を挟んだものの3/4くらいは娘も楽しんでくれて、そのままスッと寝ていった。映画館デビュー大成功!
大好きな上戸彩が声優をやっているので、もともとわたしが観たかった作品だったのだけど、これ想像以上に大人が楽しめた。
アンパンマンだからといって侮ってはいけない。アンパンマンからマネジメントのあり方を学ぶ日が来るとは思わなかった。
ひとことで言うと、バイキンマンは直属の上司・アンパンマンは経営者だった。
本作はバイキンマンが絵本の世界に入り込み、上戸彩演じるルルンとともに敵と戦うという物語。
敵と戦うメカを作るために、まずその辺の鉄を集めて溶かすのだけど、その鉄でメカを作るのかな?(鉄の量がどう考えても足りないのはご愛嬌?)と思いきやなんと「ノコギリ」や「カンナ」等の道具を作ってた。
その道具たちを使って、木製のメカ・ダダンダンを作ってしまう。その姿は職人そのもの。
メカ作りはルルンに指示を与えながら一緒に取り組むのだけど、バイキンマンの言動が理想の上司像なのだ。
「また失敗しちゃった」と落ち込むルルンに、
「オレ様はたくさん失敗してるんだぞ どうだまいったか!」「何度負けても立ち上がる」と言ってくれたり、
「立ち向かうのが怖い」と言うルルンには「実はオレ様も怖かった」と打ち明けてくれたり
圧倒的な技術力を持って現場で戦いつつ、
失敗を恐れない姿勢と相手に寄り添う声かけが、バイキンマンってメンター的なところがあるんだなあ〜〜ただのヴィランだと思っててごめん〜と思った。
バイキンマンが主役の映画なので、最後の最後にトドメを刺すのはバイキンマンかなと思う展開だったのだけど、
なんとバイキンマンはルルンの背中を押すのだ。バイキンマン、やるじゃねえか。
一方でアンパンマンはカリスマ経営者だ。
人望も熱くてリーダーシップがあってみんなに愛されていてカリスマ性がある。そして圧倒的に強い。まさに正義のヒーロー。
ルルンに「いつでもそばに居るよ、心の中にいつも居るよ」などと概念的で夢のあることを言ってくれる。
器が大きく、優しく包み込んでくれる安心感がある。進むべき道を見失ってしまったときに、指標を示してくれる存在でもある。
アンパンマンとバイキンマン、一緒に起業でもすれば上手くいくんじゃないだろうか?
アンパンマンはみーんなから愛されているのに対して、
バイキンマンの部下たち(ドキンちゃん・コキンちゃん・ホラーマン)は、バイキンマンがいなくなったことには気づいているのに誰も助けに行かない。なんと薄情なのだろう。
バイキンマンはとことん人望がないのだなと笑えたが、最後にルルンがバイキンマンにお礼をする場面では「ムズがゆい(ガラじゃない)」みたいなリアクションをしていた。彼は人望がないというより、そういうのが照れ臭いだけなのかもなと思ったり。
夫とよく‘マネジメント観’みたいな話をするのだけど、わたしは「他者のモチベーションも能力もコントロールできるものではない」としてかなりドライに考えているのに対して、夫は他者を信じて根気よく向き合っている。
わたしは過去にわたしよりも優秀な後輩のメンターをやったくらいの経験しかないのだけど、夫は何年も教育担当をしていて今や何人もの部下を抱えている。
いやー厳しいのでは?とよそ者ながら心配していた新卒が、数年してエース級の活躍をしていると聞いては夫の根気強さに毎度驚かされる。育休中には後輩たちが復帰を熱望して連絡をくれたり、遠い我が家に会いにきてくれたり、わたしに「夫さんがいなければ辞めていた」と伝え感謝してくれたりした。わたしが夫を尊敬しているところの一つだ。
そしてこの経験はわたしのようにドライに考えていては体験できないのだろうとも思う。
そんなわたしはマネジメント職に向いていないだろうなあと感じているわけだけど、自分の子となると話は別だ。
きっと割り切れないし、諦められないし、期待してしまうのだと思う。
ときにはバイキンマンのように寄り添い、ときにはアンパンマンのように優しく見守るような、そんな存在でいられたらなあと思った作品だった。
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