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人を傷つけない仕事場 2 文化の盗用

「人を傷つけたくない」という思いの一つとして、文化の盗用に加担したくない!という気持ちがあります。「自分の作品で傷つく人がいる可能性がある。」というのはとてつもなく悲しく、辛い事だからです。

まず文化の盗用とは?という部分から。当事者の方の説明や、わかりやすい説明が既にございますのでリンクを貼らせていただきます。

hanasou さん 文化の盗用(インスタブラム)

こちらの jp4blacklivesさんのページ(インスタグラム)は、全ての投稿を見ていただきたいのですが、文化の盗用というストーリーズハイライトがございますので、まずはそちらから見ていただければと思います。

読んでいただけましたでしょうか?これらのリンクの内容はもう充分すぎるほど、わかりやすい説明です。なので、当事者ではない私が色々いうのもおかしいとは思うのですが、私自身が、文化の盗用を理解するのに時間がかかった人間ですので、この機会にどうやって私が文化の盗用を理解したかのシェアをさせていただき、皆様のご理解に役立てていただければと思います。


私自身の体感としては、文化の盗用と言う言い回しを、文化の搾取という言葉にしてみた時に理解度が増しました。知らず知らずのうちに、文化を盗み、そして搾取している。この「搾取」の部分の本質を理解するのが難しかったのですが、これは、歴史を紐解き、現代にまで残る社会の差別を認識することでわかると思いますので、まず第一に、上記させていただいたリンクをしっかりと読んでいただきたいと思います。

では、リンクを読んでいただいたところで、改めまして、「なぜ、文化を引用することが搾取なのか?」について考えていきたいと思います。

ヘアスタイルを例えにしましょう。皆様が見て「かっこいい」と憧れるドレッドやコーンロウ、ブレイズ、アフロ等の髪型をしているブラックカルチャーのヒップホップアーティストさんだったり、ラッパーさん、ダンサーさん、アーティストさん。光を浴びている彼らを見て、「そうなりたい!」と尊敬を持って髪型を真似ることがなぜネガティブに捉えられてしまうのか?

それは、上記に載せさせていただいたリンクにも書いてあったとおり、それらの髪型が生まれた理由が搾取であったこと。そして、それらの髪型であることだけで差別に遭っている人たちが昔も今も存在しているからです。

実体験である現代のアメリカでのお話です。私がNYにいた頃、ある日、現場でお仕事していると、そこにいた知り合いの黒人のプロデューサーさんが悲しそうにしていました。どうしたの?と聞くと、「私が髪の毛をストレートにしないと会社をクビにすると言われた!」というのです。無知な私はびっくりしてしまいました。彼女はいわゆるオシャレ系コスメ会社で働いていました。いわゆる9時から5時に働くオフィスのお仕事ですが、どんな人種でもどんな見た目でもどんなアイデンティティでもみんな素敵だよね!というキャンペーンを行っている「今時」の会社に所属していたからです。

そこで、無知だった私は、「髪の毛をストレートにする。それくらいだったら、できる範囲だよね。私も癖っ毛だし、朝よくストレートアイロンしてるもんね。」と考えてしまいました。はい、穴があったら入りたいです。後日、ヘアさんのお友達に聞いてみると、黒人の方が髪の毛をストレートにするのには、かなり時間がかかり髪へのダメージも多く、ケアすることが大変だということ。ウィーブというウィッグのようなものを縫い込む手法もポピュラーだけど、それは時間もお金もかなりかかるということ。を教えてもらいました。「時間とお金」私たちはいかにそれらが大事なのかを知っているのに、それを強制的にある特定の人たちから奪っていく社会。

調べてみると、髪型を理由に社員をクビにする事が合法である州がたくさんありました。そんなのおかしい!能力も何も関係なく、生まれ持ったものを理由に仕事をクビにするなんて。。。悲しい気持ちで、インターネットを見てみると、大統領夫人だった時のミシェル・オバマさんは常に整えられたストレートヘアであることに気づきました。今まで、私は何も知らずに過ごしていたんだなと感じました。

「ブラックの友達に聞いたら、文化の盗用は気にならないと言っていた」という意見も聞きます。それは当事者1人の方の意見です。その方の意見というのは、もちろんとっても大事なのですが、大きな視野で見ると、ここまで文化の盗用が問題になっていると言うことは、この事柄に対してネガティブな感情を持っている当事者の方が数多く居るということです。それは紛れもない事実です。どちらかが合っていて、どちらかが間違っているという話ではなくて、なるべくなら、嫌な思いをする人が少ない方がいいよね。という事なのだと私は思っています。皆さんはどうですか?

「生まれ持った文化以外のカルチャーを使用しては行けないと言うことは、金髪にしたりすることも文化の盗用なの?」と先日お友達に質問してもらいました。これは、違います。もともと金髪として生まれ育った人が、金髪であるからと言って奴隷にされたり、差別されたり、搾取されることがないからです。歴史的にみると、金髪であることはどちらかというと優遇されていましたし、今も優遇されているのです。

ファッションの業界の方から、「そんなことしてないよ!」「その文化をリスペクトしているんだよ」「なんだか、クリエイションの自由がなくなった」などの声をよく聞きます。それは、私たちの商売道具でもあるイマジネーションを活用すればちゃんと解決できると思います。私は当事者ではないですし、代弁をしようと言うような生意気なことをしたい訳ではないのですが、「自分の作品で傷つく人がいる可能性がある。」ということを私たちプロのクリエーターは1人1人受け止めなくてはいけないと思うのです。もちろん、私も過去に知らぬ間に文化の盗用を行っていたと自覚しています。本当に反省していますし、今後はそのようなことを絶対にしないようにしようと思っています。そのためにも、まずは当事者の方の声を聞くこと、自分の認識を確認すること、分からない時は調べ、そして、このような会話を始めることが大事だと考えています。

自分が好きなことをして、他の誰かが傷つく。自分が利益(お金や名声など)を得ることで、他の誰かが搾取される。
それって、悲しいと共に、すごく不自然な現象ではないでしょうか?

せっかく自分が好きな事をするなら、みんながハッピーになれる、自分だけではなく他の人も豊かになれるクリエーションをしていきたいのです。そんなの夢物語と言われようが、私は夢を見ていたい。一緒に夢を見ませんか?

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