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連載《教え子~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語~》

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塾講師の沢崎と、女子中学生の玉城彩子。 二人の間に淡くてほんのり苦い関係が生まれた。 講師と生徒の間柄を乗り越えて、二人の思いは結実するのか、しないのか。 じれったいが故のほろ苦…
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2019年4月の記事一覧

連載《教え子07~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語》

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そのおかげで、寝ても覚めても、彼女を想うようになった。
クシャッと笑う彼女の顔が、何をしていても脳裏をかすめた。
ほかの学年の授業中も、一日の授業が終わり残務をこなしている時も、電車の中でも、帰宅して灯りをつける前の暗闇でも、だらだらテレビを観ている時も、シャワーを浴びている時でも、寝る時も。

これは、いけないことだ。
彼女がそんな俺の複雑な想いを知ったら彼女は傷つく。
どうせ彼

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連載《教え子06~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語》

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すうっと伸びた腕は後ろ手に組まれ、
すらっと伸びた足は強烈に彼女を十等身たらしめている。
Tシャツの襟元と袖口から、まだ日に灼けていない真っ白な肌が境界線を超えて覗かせる。
いかん、いかんと思いながら俺の目はその境目を追ってしまう。
なんて真っ白な肌なんだ。
箸より重い物を持ったことの無いような華奢な指先には少しだけ伸ばしている桜色の爪が乗っている。
おそらく中学生でも許されるコー

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連載《教え子05~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語》

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春期講習、二日目。

彼女に答案用紙を返さなければならない日。

答案用紙に書かれた、

「先生の下の名前、丈でしょ? (^o^)/」

に対し、俺は、

「そうだよ、彩子ちゃん」

と、赤ペンで書いてしまった。

小テストであっても、答案用紙は、俺は、一人ひとりに返して回ることに重点を置いている。

何故なら、たとえ小テストとは言え、全員でなくても彼らなりに真摯に向き合っているか

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連載《教え子04~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語》

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「・・・下の名前、丈・・・」
ポーッと一気に、頭に血が上ってしまった。
自分の一部を、敏感な一部を、あの子は知った。
彼女は俺の名前をどうにかして入手したのだ。
そこまで彼女は俺のことを想っている。
好意を寄せている証拠である。
そう思った瞬間、鳩尾の辺りがキュンとして、背筋の神経がピーンと張りつめた。

一方で、「姓は誰にでも知られてもいいが、下の名前だけはある一定の距離関係にあ

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連載《教え子03~塾講師と生徒~淡くてほんのり苦い物語》

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春期講習というのは、受講科目数によって異なるが、多くの科目を受講する生徒は半日くらいを塾で過ごす。

彼女は、5科目を申し込んでいた。だから、午後1時からたっぷり5時間、午後6時まで滞在することになる。

教える側にとっても、例えて言うなら、夏の甲子園が開催されている間、ホームグラウンドに変えることができず、ずっと遠征になる阪神タイガース並みに、気力と体力を要求される。

しかも、

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