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小さな駅に降り立つ。 二両編成の列車は去り、プラットホームにはひとり。 さあ、どこへ…
今もどこにいるかはわからない。 声を聴いたもの、思いを馳せたもの、数多くいた。けれど…
矩形の湖のほとりに 枯れない薔薇が咲いていると云う。 砂嵐のようなめぐりあいのあとに のこ…
そして今、わたしはあなたの前にいる。 わたしはあなたほど切実ではなかった。 あなた…
あまり長居はできない。 いつもそう言い聞かせて、病院の自動扉をくぐる。 千沙は花が…
物語はここから始まる。 どこからか? それは私が気まぐれに振り絞った勇気から始まる。 最近知った喫茶店で、私は今日もその画面を眺めていた。 壁の高い位置に掛かっている液晶テレビ。映っているのは、パステルカラーの食器棚や鍋、スプーンのたぐい。カメラはよどみなく人の手元を追っている。 その指先は料理をしていた。今日はどうやらお菓子を作っているようだ。このまえ来たときはドリアを焼いていたのだが。 私が食い入るように画面を見つめている間に、ふわりと香りを漂わせて紅茶が
Side out それは美しく完成された世界だった。すべてが調和した、本物のような偽物。ここに…
古い絵描き歌をくちずさむ。おぼろな記憶をたぐるように、窓ガラスに直線と曲線をえがいてい…
無窮の闇を旅している。 何光年、あてどなくめぐり、通り過ぎた。彼方に自分と同じ小惑星…