MADE IN ◯◯
今回はストイックに…!
品質について。
はい,今回は品質について掘り下げてみましょう。
洋服に縫い付けてあるラベル。私たちは“品質表示タグ”などと呼びますが,それを確認することによってその製品の出自,アイデンティティを知る手がかりになります。
どんな素材で構成され,どの国の人たちによって作りだされた製品なのか。
それらを気にするのもあなたのデザインリテラシーを向上させるのに重要なポイントです。
私は,品質とは“品の質”だと定義しています。
品とはエレガント,『優雅な』『上品な』という意。それの質…。
洋服というのは元々ヨーロッパの服飾に起源を持つものなので,その品質という面においては MADE IN FRANCE や,MADE IN ITALY の洋服が醸し出すエレガントな空気感はぜひ体感してもらいたいものです。( MADE IN USA が持つワイルドな〈雑ともいうw〉雰囲気が逆にカッコよかったり…。)
縫製技術から見ても,和服が直線に裁った生地を縫い合わせるのが基本であるのに対し,洋服は身体の形状に合わせて曲線的に裁った生地を縫い合わせるのが基本であるため,ヨーロッパで生まれた洋服は DNA レベルからひと味もふた味も違います。(LEVI'S に代表されるワーク系やカジュアル系はさすがアメリカな、いい感じの雰囲気出てます。)
しかし中国をはじめとする人件費の安い国々に縫製を委託していながらも,最後の包装や仕上げだけをフランスやイタリアの自国で行い,MADE IN FRANCE ,MADE IN ITALY といった『いいイメージ』での生産国表記のタグを縫い付け,消費者を欺いているブランドもありますので,やっぱりそのウソを見抜くにはブランドや製品の資質(製造過程)や本質(ブランドコンセプト)を自分で調べるしかありません。
もちろん品質と値段は比例します。ここはぜひあなたの品質を上げるためにも値段に囚われず,高品質(HIGH QUALITY)な洋服にチャレンジしてみてください。高品質な製品には作り手の想いが必ず込められています。
千円の服を100着買うよりも10万円の洋服1着の品質があなたの品の質とデザインリテラシーを確実に向上させます。
また,忘れてはいけない MADE IN JAPAN 。
私も“日本製”に執拗にこだわってモノづくりをしてきましたが,皆さんも簡単にイメージできるように,日本人の実直で手抜きができない気性は,安心して一定の品質が保証されます。
ですが,『“デザイン”とは…』 でもお話しした通り,日本人は遊び(無駄)が苦手な気質なので,MADE IN FRANCE ,MADE IN ITALY の余裕のある服作りとはまた違った,生真面目な雰囲気になりがちです。(逆にその仕上がりを好み,MADE IN JAPAN を求める海外デザイナーもいたりしますが。)
この辺の感覚は車の生産国のイメージと同じと思ってもらえれば理解しやすいと思います!
そして皆さん意外に洋服はマシンでオートマチックに出来上がるものだと思われている方も多いですが,私たちのいうマシンはミシンのことで,今でもそのミシンを使って熟練した職人さんたちが1着1着洋服を縫製しています。(私が考えるようなめんどくさい洋服はすごく嫌がられますw いや,ほんとめっちゃ嫌がられますw 普通の洋服作りなさいと怒られますw 普通てなんやねん…。)ボタン付けなんかはハンドメイド(手縫い)の縫製工場さんがほとんどです。(コレも私が使うようなややこしいボタンはめっちゃ嫌がられます。さらにボタン付けが多い洋服なんかはマジでキレられますw)
ミシンも縫製仕様によって何種類も使い分け,糸番手(糸の太さ),ミシンの針目のピッチ(縫い目の針の穴の間隔),糸の色の組み合わせも含めると無限の組み合わせが存在します。いや,ほんと考えただけでも無限に…笑
それらの組み合わせをデザイナーの指示通り,全て手作業でミシンにセットし,いよいよ縫製に取り掛かるのです。
もちろん職人さんたちは数日で職人になれるわけもなく,毎日毎日ミシンを踏み続けた結果,美しい洋服が作れるようになります。
この膨大な時間と手間と労力を考えると,安い洋服を作るためにはどうすればいいのか…,皆さん容易に想像できるでしょう。
極力無駄(デザイン)を省き,人口が多く人件費の安い国で,大量に作る。
今もって超アナログな方法でしか作れない服作りにはコレしか選択肢がないんです。
そして手仕事が得意な国民性もあわさり,MADE IN CHINA がモノづくりの主流になっているんでしょう。
まだまだデフレから脱却できない日本。特に洋服のデフレはユニクロを筆頭にとどまるところを知りません。
もはやプチプラがファッションになった現在,インスタ映えするだけでいい,品質にこだわらない上っ面だけのオシャレしかできなくなっている日本人。
私は常々このデフレの日本経済を変えるには日本人が “MADE IN JAPAN”の製品を買うことが1番の近道だと思っています。
オシャレの部分でも,中国,韓国,香港の方々のセンスはかなり高くなっていると肌で感じます。
彼らはオシャレについてもとても貪欲に勉強しており,加えてオシャレに1番必要で,日本人が失ってしまった“自信”や“誇り”も彼らには備わってきているのです。
日本はすでにオシャレに関しても先進国ではありません。
MADE IN CHINA の製品も10年前に比べると非常に上手くなってきているのも脅威です。
そりゃ世界に向けて世界が求めるデザイン,品質のモノを大量に作っていたら上手くなるのも当然です。
ですが,日本のモノづくりの品の質だけはまだ辛うじて世界でも通用するレベルだと思います。
それは日本の職人たちが国内消費が縮小しているにも関わらず,“自信”や“誇り”をかけてモノづくりをしているからです。
日本人が MADE IN JAPAN の製品を購入することによって日本の工場,職人たちが潤い,それに憧れる若者たちがまた職人となり,MADE IN JAPAN を次代へ引き継ぐ。そのサイクルが本当になくなりつつあります。
むしろ MADE IN JAPAN の高品質で美しいモノづくりを理解し,支えているのは中国人をはじめとした外国人という皮肉な構造です。
モノづくりが無くなった日本にはいったい何が残るんでしょうか?
MADE IN JAPAN の品質を保てるのも私たち日本人なんです。
あなたの大切なお金をモノの値段だけでは無く,それぞれの国の品質,MADE IN ○○ にもこだわって支払ってみるよう意識してもらえれば,また違った側面からのオシャレを楽しめます。
安くても高くても,皆さんが毎日着ている洋服は様々な国の人の手作業で成り立っています。それぞれの国の個性が分かり,それぞれの国の人の想いが伝わる洋服をぜひ感じてみてください。
本物のみ持ち得る品格溢れる人格