なんなのだろう、この感覚
綺麗に間隔をあけた雲が気怠そうに泳いでいる。
雲はなんでそうなったのか。理解出来ていない不思議な光景を目の当たりにしながら久石譲の「HANA-BI」を聴いていると、どこか世界を俯瞰から見ているような気がして、自我が遠のいてしまいそうになる。
すれ違う群衆も、鈍い痛みも、時の流れすらも。
体は道を知っているから淀みなく進んでいくのだけどそこに心はなくて、ただ、ただ他人事のような感じがするのだ。
なんなのだろう、あの感覚。「僕」は死んでいるのか。
幽体離脱というのはこの感覚がしっかり分離してしまった状態なのかもしれない。どんどん不思議が僕の頭上にだけ雲のように広がっていく。
植物には意思があると個人的に思っているけれど、
雲にも意思はあるのだろうか。途方もなく考えてみる。
何もかも分からないけれど、空をみている時間が僕に必要なことだけは分かった。
一度はやってみて欲しい、空を見てHANA-BI
終