見出し画像

防災と開発金融(Disaster risk reduction and development finance)

国土強靭化と声高に言われて、10年ぐらいが経った。気候変動の影響による、豪雨災害の頻発化や激甚化が起こっている。

防災に関する投資は、過去から日本は積極的に行ってきた。災害大国ニッポン。過去から防災対策が行われていなければ、経済成長は実現できなかった。今の国土強靭化予算は、約5.2兆円程度であり、全体予算の約4.6パーセント(R6年度当初予算112兆717億円)。
徳川家康や豊臣秀吉も治水事業を行ってきた。中国の古代、春秋時代の覇権国家である斉の宰相・管中の言葉に、「水を治めるものは、国を治める」「善く国を治める者は、必ずまず水を治める」というのがある。まさに、徳川家康や豊臣秀吉も実践してきた。

世界においても防災は一つの気候変動適用策の一つとして考えられている。
しかし、十分な投資がされていないのが現状だ。気候変動緩和(climate change mitigation)に関する開発資金は近年増加傾向にあるが、気候変動適応(climate change adaptation)への開発資金は2020年からは減少しており、気候変動適応への開発資金には、現在の10-18倍の資金が必要とされている(Adaptation Gap Report 2023、UNEP)。

特にLDCsやSIDSにおける防災への投資はODAに編重している現状であり、防災に関連したODAの90%以上が緊急援助であり、DRRへの事前投資の取組はわずか4.1%(GUIDANCE NOTE INFFs for Disaster Risk Reduction (DRR), UNDRR)、途上国の防災強化には開発資金が重要となっている。

なぜ、防災への投資が進まないのか?
それは、複数あると言われているが、GUIDANCE NOTE INFFs for Disaster Risk Reduction (DRR)(UNDRR)によると、気候変動リスクが開示されていないことや技術的にリスクを開示する手段がないこと、そもそも公共投資を行っていないことが挙げられている(下図)。

財政システムにおける気候変動適用や強靭化に対する投資拡大にかかる障壁について(UNDRR)

このような防災投資への潜在的な需要が、日本がこれまで培った知識や経験が活かせるよう、上手く日本企業のビジネスチャンスへ繋がれば良いと思う。

また、防災は気候変動での災害が激甚化・頻発化している中、持続的な発展(SDGs)の基盤となる。その文脈でも、日本や日本企業の取り組みが評価されるとありがたい。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?