教室に差し込む木漏れ陽
先生がスプロール化現象と叫ぶ
そんな姿を僕は見ている
誰も話を聞いていない
僕も話を聞いていない
それでもなぜだか皆知っている
勉強していないのに知っている
まるで魔女の杖のように
まるで呪文の口上のように
言葉が夕日に煌めいて
燦々と暮れていった太陽が
言葉に色を与えてる
それでも窓の外には堕ちていった太陽
それでも窓の内には暮れていった言葉
斜陽と呼ぶには儚すぎ
没落と呼ぶには薄情すぎる
僕は先生から目を逸らし
単行本を手に取った
「アンダーグラウンド」と
「明日の田園都市」
僕はそれらを鞄にしまって席を立つ
時刻は午後17時
没落の時刻
先生はカンザスの夢想に
夢中で気づかない
もう授業の終わりの鐘が鳴ったこと
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