「絶対年代」爆誕!コレでわかった地球46億年!!:地質年代とは?part2【地質のきほん:その4】
トップ画像は気象庁ホームページより引用
前回は「あの地層とこの地層、古いのはどっち?」という方法で順番を決めていたって話をしました。
何年前か?は分からずとも、昔の地質学者はとにかく「どっちが新しいか?どっちが古いか?」を一生懸命調べていました。
でもとうとう、その苦労が報われる時が来ます!
「絶対」年代、爆誕!!
当時の地質学者にとって、かなり画期的だったと思います。
何せ「何年前?」がやっと分かる時が来たのですから!!
時は1900年代中盤。
まさに地質学の歴史に「絶対年代測定法」が誕生しました!これさえやれば「何年前か?」が分かるんです!!
原子の量で時間を測る!
モノ(=物質)をどんどん分解すると「原子」という1つのツブになるっていう話は、聞いたことがある!という人は多いかと思います。
そして原子はさらに小さなツブ・・つまり「陽子」「中性子」「電子」で出来ています。
例えば原子にも、水素とか炭素とか酸素など種類がありますが、それらは「陽子・中性子・電子の"数"の違い」で、そのバランスによっては不安定で壊れやすい原子もあると分かってきました。
そしてさらに!
不安定な原子が壊れて、別の原子になるということが分かりました。
そしてそしてさらに!!
ある原子が壊れて別の原子に変わるまで「何年かかるか」が原子の種類ごとに決まっていることが分かりました。
放射年代測定とは
つまり地層中の岩石などの「原子の量」を測れば、何年前か分かるんです。
これで真っ先に使われたのが「放射性炭素年代測定」です。
実は炭素には「兄弟原子」があることが分かりました。
それは炭素14。記号ではC14(英語でカーボンフォーティーン)
普通の炭素よりも中性子が2つ多いという炭素です。
なぜこんな炭素があるかというと、宇宙から降り注ぐ放射線(宇宙線)が地球の大気(空気)と反応して、出来るのだそうです。
ですが、このC14は壊れて窒素14になります。
でも宇宙から放射線がどんどん来るので新しいC14も次々と生まれます。
ということで常に「普通の炭素(C)」と「C14」は同じ割合になります。例えば、普通の炭素が90%に対してC14は10%みたいな割合です。
(※厳密に言えばC14はかな~り少ない割合らしいです)
ただしこの割合は、空気中の炭素に限られます。宇宙からの放射線で反応する炭素は、あくまで空気中の炭素です。
ですので、例えば植物が育つ途中で空気中から炭素を取り入れます。
この時の普通の炭素とC14は空気と同じ割合ですよね。
でも、例えば火山灰に埋もれて地中に閉じ込められたとすると、それ以降は空気に触れないので「空気中で新しくつくられるC14は入らず、C14が壊れて減っていくだけ」になります。
(※厳密に言えば植物が死んだ=呼吸しなくなった時から、空気中のC14は入らなくなります)
そしてC14が半分に減るまでの時間は5730年(ウィキペディアより)だそうです。
つまり地層中に埋もれた木の炭素14の量を測り、半分の量だったとすると、その木は5730年前ということになります。
ですので炭素14の量を測り、通常の量と比較して計算すると「何年前か」が分かるのです。
問題点や他の方法などなど
もちろん問題点はあります。
①:実はC14の量が一定なのは核実験の前に限られます。核実験のせいで、今はC14の量の割合が乱されてしまっています。
ですので核実験前のC14のデータを使って計算されています。
②:また最近は地球の長い歴史の中でC14の量に揺らぎがあることが分かりました。ですので今はそれを考慮して補正してるそうです。
③:炭素14は5730年で半分に減り、さらに5730年たつとさらに半分に減ります。原子は小さいので、例えば1コ、10コみたいには測れません。
あまりにも古すぎるものを測っても炭素14の量が少なすぎるので、それ以上は測れなくなります。
これを限界値と言い、炭素14の場合、現在では5万5千年前までだそうです(Natureダイジェストより)。
他の原子を使った年代測定法もあり、代表的なものとしてカリウム-アルゴン法があります。
カリウムはマグマに良く入ってるので火成岩の年代測定に使われます。
カリウムが壊れてアルゴンに変わるのですが、半分まで減る年数は、なんと約13億年!(今はフィッショントラック法という方法が主流になってきているようです)
測る原子によって限界値や精度が違うので、まず地層を注意深く調べて相対年代を考えた上で、適した原子(元素)を使い分ける必要があるのです。
いかがでしたか?
地球46億年とは、こうやって色々な研究の結果、明らかになりました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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