今の小学生に、震災をどう伝えるか
もうすぐ3月11日です。
3月になると、どの学年を担当していても、3.11を授業でどう取り上げようか考えていました。
今日は、小学校で震災をどう扱うか、私の思いを書いていきます。
(当時のことを思い出される記述があるかもしれません。気分を害される可能性がある方は、お控えください。)
今の小学生って?
2022年3月、
今の小学6年生は、2009年4月2日から2010年4月1日生まれ。
震災当時は、ほとんどの子が1歳でした。
今の小学5年生は、2010年4月2日から2011年4月1日生まれ。
震災当時は、産まれて間もない0歳か、まさに出産前後でした。
今の小学4年生は、2011年4月2日~2012年4月1日生まれ。
震災当時は、ママのお腹にいたか、震災後に身ごもられた赤ちゃんでした。
今の小学生はもう、リアルな記憶、自分の体験として“震災”は残っていない年齢です。
何を大切にするかで授業内容を決める
授業で震災のことを扱うときは、そのあと子どもたちに何を考えてほしいかによって、扱い方を変えます。
【理解・認識・把握】
①東日本大震災という大きな地震があったことを知ってほしい
⇒当時のニュース動画、写真記録を見せる。
⇒起震車の映像を見せて、揺れの大きさを感じられるようにする。(コロナ禍だからか、最近、起震車体験は少なくなっているような・・・)
②津波について正しく認識してほしい
⇒津波のイメージを予想させてから、動画を見る。
⇒津波到達地点の高さを、子どもに身近な建物で例えて、実感できるようにする。
【防災意識・命の大切さ】
③地震・水害・暴風雪などの天災のときを想定し、自分の命を守る方法を考えてほしい
⇒天災の怖ろしさを知る。
⇒自分の住んでいる地域では、どのような天災のリスクがあるのか把握する。
⇒家、学校、登下校時、遊びに行く場所、習い事など、自分が行く機会のある場所で天災が起きたらどうするか、シミュレーションする。
⇒天災が起きたとき、家族とどう連絡を取るか、どこに集まるか、把握しておく。
④命の大切さ、命があるありがたみを感じてほしい
⇒東日本大震災で多くの命が失われた事実を知る。
⇒亡くなった方には大人も子どももいたこと、親を亡くした子ども・子どもを亡くした親もいたことを知る。(自分だったら…と考える)
⇒被災地の子どもの作文や手紙を読み、思いを馳せる。
⇒考えたことを授業で共有する。
取り扱い方は、学年や発達段階、そして地域性によって違ってくると思います。
命について考える場合には、実際に親族を亡くした経験があるお子さんがいる場合には特に配慮をします。
また、繊細なタイプのお子さんもいるので、あまりショッキングな情報は出しすぎず、「さらに知りたい子はおうちの人に聞いてみてね、調べてみてね」と出口を広げておきます。
14:46、そのとき私は
私は震災当時、教室にいました。
ほとんどの児童は下校していて、居残りをしていた子や帰りの準備が遅い子が数人残っていました。
14:46、立っていてもわかる大きな揺れで、児童用の机がいくつか倒れるくらいでした。教室にいた子に、机の中にもぐるように伝え、その中でも大きな声で泣き出した子の近くに行き、机の脚をいっしょにおさえました。
揺れがおさまるとすぐ校庭に出ました。
泣いている子、怖くて動けずにいる子、友だち同士で抱きしめ合う子、兄弟の姿を見つけて駆け寄る子がいました。
下校途中の子や、家で一人だった子も学校に避難してきました。
先生たちだってこんな自身は初めてでした。最新情報を確認しながら、今ここにいる子どもたちの安全を確保することで頭がいっぱいです。3月と言ってもまだまだ寒い中、子どもたちは外で長い時間待ちました。
少しずつ、保護者が子どもたちを引き取りにきました。
また、地域の方が体育館に避難して来ました。
公共交通機関が止まり、車も交通規制や渋滞でほぼ動かない状況。出勤中だった保護者は、徒歩で帰ってくる方がほとんどでした。最後の一人の引き渡しが終わったときの安堵感は今でも忘れません。
「みんな無事におうちの方に引き渡せた。」
「保護者の方もみんな無事に帰ってこれた。」
風化はさせない。でも徐々に、だからこそ、
教員の立場で震災を経験した私は、このようなリアルな話を児童にしていました。
今、新卒ストレートで教員をされている先生たちは23歳。
震災当時は12歳。小6ごろでしょうか。
自分が体験した震災について、子どもだった視点・立場から語ることで、より臨場感があるかもしれません。
震災について、風化はさせないという思いを強くもっています。
しかし、徐々に人間の記憶は薄れていきます。
リアリティをもって語れる人間が減っていきます。
他に大きな天災が起きると、人々の意識は新しいほうに向きがちです。
今の6年生の世代が教員になったときはどうでしょうか。
誰かから教えてもらった震災のこと、調べて分かった震災のことを、後世に伝えていくことになります。
だからこそ、震災を知っている世代の私たちは、臨場感をもって、リアリティをもって、子どもたちに伝えていく責務があると感じます。
伝えることから、子どもたちが考える機会を作りたいと思っています。
私が使ったもの
私が、授業で震災について取り上げた時につかった資料を紹介します。
この他、当時のニュース映像をYouTubeから探して見せることもありました。
お子さんに見せて問題ないページか、精神的ショックにつながらないか(お子さんのバックグラウンドをよく把握することは重要)、事前によく吟味して、選んでみてください。
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