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長く勤めてくれるかどうかなんて、どうやって見分けるのか。

「転職回数が多い人はすぐに辞める可能性が高い」、「初めての転職か、1社の在籍期間が長い人は入社して長く勤めるだろう」そう思っているマネージャーは結構多い。その考えは、間違いではないが、間違っている。そもそも、

中途採用者が、定年までずっと働いてくれる、それは幻想だ

業界や職種に多少の違いはあるだろうが、一度転職した人は、また転職する。何故なら、自分のスキルや経験をもっといい条件で評価してくれるところがあれば、そこでもっと自分の価値を高めたいという傾向が強い。だから転職するのだ。ある程度納得できた転職が出来たら、「もっといいところがある」と欲出すのは人間として自然だ。もし、転職が失敗したと思ったら、人生の、キャリアの軌道修正しようと次の仕事を探すのも自然だ。だから転職してくる人に、「ずっとうちの会社で働いてくれる」と思うこと自体がナンセンスだ。

厳しいことを言えば、部下や社員に「会社へ忠誠」を期待するのは、転職経験がない人か、または転職した会社で、結果、定着出来た人に過ぎない。人は、自分の経験や感覚で、「他の人も同じだろう」とみなしてしまう。自分がこの会社で、長く働いているんだから、他の人もそうだろうと思うのも自然なのだが。そこがなかなか人が採用できない落とし穴の一つだ。

採用とはそもそも何だろうか。誰かが辞めた穴埋めであれ、業務量が増えたことによる補充であれ、”その仕事をやってくれる人”を探すこと。ある意味ドライな言い方かもしれない。だが、そこに、人間力だとか、品だとか、相性だとか、非科学的な、自分の都合いい理想条件をどんどん加算し、本来の業務を担ってくれる人という観点がブレる。挙句には「ほしい人材が来ない」と嘆く。

会社に長く勤めるか、否かは、所詮結果論でしかない。

多くの転職希望者は、辞めるのとことを想像/想定して応募するわけでも、入社を決めるわけでもない。それは、離婚することを前提に結婚する人がないのと同じだ。だから、書類やたかだか1時間の面接で「”永く”勤めてくれそう」、つまり”この人は辞めないだろう”という要素は何も見つけられないはず。中途採用が辞めるのは、入社後の”相乗効果”の予想が外れたに過ぎない。だが、個人の方が圧倒的に立場が弱いので、「あいつは使えなかった」と、企業側か辞めた中途採用を悪者に、”自分(達)は悪くない”と自分を慰めているのだ。

続けられるかどうかを判断するのではなく、この仕事が出来るのか、否か

そのことだけに焦点を絞り、採用選考をすべきだ。人、人の気持ちは常に変わっていくもの、昨日とは全く同じではなく。

追記:イラストレーター芦刈将さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。

「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。