泣きたいような気分になった〜障がい者雇用について〜
今週の3行日記のなかにまとめようと思ったけれど…。
あぁ、ダメだ……。
気持ちが溢れてどうしようもない。
先月のこと。
一度記事にしたように、今年度、私の部署には車いす利用の新人さんが配属された。
彼女、とっても良い子で。
一口に「車いす利用」といっても、杖をつけば歩ける方もいれば、持ち上げてもらわなければ移乗できない方もいる。
彼女は後者で。
しかも下半身だけでなく、左半身も麻痺しているようである。
でも、できないことはできない、そしてできないことが多いけれど、できることは頑張ります!と、とっても前向き。
頑張り屋さん。
仕事の飲み込みも早い。
私が彼女の状況であれば、間違いなく、不貞腐れているか、心が病んでいたと思う。
この、障がい者雇用の彼女のことで、先月初めから他の所属を交えて、調整しなければならないことがあった。
彼女は、今年度採用の新人さん。
何度か必修の研修がある。
そのうちのひとつ、現地集合で、バスでないと行けない施設での研修が予定されていた。
彼女は、電車には乗れるけれど、ノンステップでないバスに乗ることは不可能。
この研修について、彼女が自力で現地で向かうことはできないし、本社にもうちの支社にも車いすを乗せることのできる車両なんてなく、誰かが運転して連れて行ってあげることもできない。
新人研修の主催は、本社人事課。
障がい者への雇用の間口を広げる…ということで、雇用を決めたのも、本社人事課。
このことについて、何か代替措置(動画研修など)とか、移動手段とか、雇った主の本社人事課は何か考えているのか、先月初めに問い合わせを行った。
……ああ、そんな問題がありましたか、と。
代替措置はありません、と、即答。
前例もないですねぇ、と。
原則、どの課も研修に関する交通費は原課の会計でなんとかすることになっているので、と。
支社で持っているタクシーチケットで何とかできるんじゃないですか?と。
おどろいた。
他人事も他人事。
なんだ、人事課は、「じんじか」と読むのではなく「ひとごとか」と読むのか?
しかも、件の研修は、題して「人権研修」。Oh…。
私の本音としては。
半年前に、そちら(本社人事課)で採用を決めていて、半年前からこのような身体状況の方が来るということが分かっていたのだから、その時点からちゃんと考えておきなさいよ、と。
せめて、原課に丸投げするのであれば、例外的に、そのような方が来るという連絡を早めによこしなさいよ、と。
(車いすの子がくる、と、原課に連絡があったのは、なんと採用2日前の夜であった。連絡がそのタイミングであったことに、部長までが怒っていた。)
社の体制として、障がい者にも雇用の機会を広げる、とか、SDGsがなんたら…、とか、華々しく言っているのであれば、本社人事課が、どの支社でも、どの課でも対応できるようなルールをあらかじめ作っておくべきでしょうが、と。
どのみち、間口を広げるのであれば、将来的にこういう事象は起こってくるのだから、原課だけの問題にするのではなく、社全体で検討すべき案件でしょ、と。
ただ、支社にある原課が本社の人事課に訴えたところで、現実的に何か動き出しそうな気配も感じられなかったので、やむなく、私は、支社の人事に相談に行った。
支社の人事で調整してもらい、福祉タクシーという手段をとることは可能になった。
ただ、次々に問題が発生し…。
まず、支社で契約しているタクシー協会で、タクシーチケットを使って福祉タクシーを手配しようとすると、日帰りで関西から東京出張にでも行くのか?みたいな費用がかかる。それはさすがに…。(支社の総務)
契約していないタクシー会社または協会で、福祉タクシーを手配することも可能だけれど、規程上、立て替え払いは不可。前払金の手続きを。(支社の会計)
タクシーチケットは協会と支社で契約を結んでるので、同じような手続きをとって整合性を合わせないことには、お金は出せない。つまり、前払金は不可。(支社の経理)
研修まで、あと約1週間。もう、タクシー会社と契約を交わす時間なんてないよ…しくしく。(私)
直属の上司と、支社の人事担当者と、私とで、あの手この手を考えるけれど、行き止まりばかり…。
支社の各担当の言い分も分かる。
立場上、そう言わないといけないことも、分かる。
でも、カラい。
とてつもなく、カラい。
これは、優遇ではなく、配慮の話だ。
それもこれも、雇った張本人である本社人事課が、彼女が配属されるまでに、規程等を整えたり、検討したりしなかったのが、いけない。
やはり、大元はソコなのである。
大元があらかじめ何も詰めてくれていなかったことで、私たち原課の人間は今、できるだけ、彼女の見えないところ、水面下で調整を進めている。
だって、彼女がいたたまれない気持ちになるのが目に見えているから。
でも、聡い彼女のこと。
やはり、私たちがいくら水面下で動いても、察知してしまうのだ。
そして、気が引けて、「友達にご飯を奢ることにしたので、その友達に自家用車を運転してもらって、研修中も待ってもらって、自力で何とかします!」なんて言ってしまうのだ。
人権擁護を推進している組織が、障がい者雇用の間口を…とか言っている組織が、SDGsがなんたら…とか言っている組織が、本人にこんなことを言わせてしまう…実質このような有り様なのだ。
私は、このことについて、先月から本当に腹を立てている。
もちろん、度重なる調整ごとで自分自身の手がとられることに対してではない。
偽善でもなく(たぶん)、本当にそこは何度方針がひっくり返ろうと、「なかったらない仕事だったのに!ぷんぷん!」なんて、不思議なくらい感じない。
前例がないのであれば、組織の将来のために、将来から見た前例に立ち会ってやろうではないか、と、なぜか強気である。
ただ、本社人事課のやり方は本当にいただけない。
私の嫌いな「偽善者」そのもの。
将来的なことなんて、何も自分事として考えていない。
言い方が悪いけれど、本当に、本当に、私はキレ散らかしている。
一方で。
今日うちに帰ったあと、とりあえずイライラを和らげるためにビールを飲みながら…。
(私は、アルコール〜缶ビール1本ほど〜を摂取すると、気持ちがほわほわ柔らかくなる。だから、ごくたまに、イライラした日だけ飲む。)
なんで、そこまで私はキレ散らかしているのだろう、と。
気持ちが多少和らいだあとも、本社人事課のやり方は本当にいただけないという考えは変わらないのだけれど。
総務も経理も会計も、冷静に適正な手続きをしようとしている。
何を、私ばかりが、こう感情的になっているのだろう。
感情だけでは仕事が進められないこと、もう10年以上も社会人をやってきて、分かっているでしょう?
年齢も年齢、アラフォーになって、なぜ冷静な大人の対応ができないの?
しかも、組織の将来を考えて…なんて立派なことを言って怒っているようだけれど、私、来年の春には退職するんでしょ?
来年以降いないアンタが怒ってどうすんのさ。
さらに、本当に大変なのは、車いすの彼女。
当の彼女を差し置いて、何をいきり立ってんのさ。
彼女は、きっと色々な場面で、温室育ちの私にはまったく想像もできないような、絶望の縁に立たされるようなことを経験してきて、それでもまぶしいくらいに明るく前向きに生きている。
当の彼女に思いを馳せ、そして、それに比べて色んな面で至らぬ自分を省みた。
ビールでしみじみ心を和らげながら、少し、泣きたいような気持ちになった。
※画像はお借りしました。ありがとうございます。