詩 ジャングルジム
泣きたいのに
涙が出ない
そういうことがよくある
泣きたい、泣きたい
と心の中で呟いてみても
涙はいっこうに出てこない
なのに、絶対に泣きたくない
満員電車に揺られているとき、
そういうときほど、鼻の奥がツーンとして
ぽたりぽたり
知らない人のスーツの上に
水滴が垂れる
海ができるらしいと誰かが言った
わたしたちみんなの
悲しみをぜーんぶ
集めれば、
海ができるんだって
でもそんな事実は
私を救ってはくれない
相変わらず朝2時に死にたくなるし
私が3歳のとき、ジャングルジムから落ちたことを誰も知らない
地震が起きても、机にはもぐらない
だって私、泣きたいときに泣けないから
泣きたいのに
泣けないから