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本や映画、ドラマの感想つれづれ

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#多様性

『愛の不時着』の女性に見る脱ジェンダーステレオタイプ

『愛の不時着』の女性に見る脱ジェンダーステレオタイプ

普段私がよく見るのは主にアメリカのドラマだ。それも、現実にありそうな話ばかりを好む(ちなみに大好きなのは『This Is Us』)。そんな私が初めて韓国のドラマ、それも現実にありえなさそうな設定のストーリーを見て、ハマった。その理由の1つが、女性の描かれ方が新しかったことだ。

(ちなみにこれから書く内容は個人的な感想である。「こんな見方をする人もいるのか」という観点で読んでいただけると幸いだ。ま

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差別をふんわり覆ってしまう残念な「映画の邦題」

差別をふんわり覆ってしまう残念な「映画の邦題」

今、改めてアメリカの人種問題が注目されている。

私たちが生きる社会には、色んな不平等があり、色んな差別や偏見が根濃く残っている。日本も例外ではない。これは残念ながら否定しようもない事実だ。けれど、日本では「なるべくその事実を見たくない」「差別なんかない」「まあまあ、落ち着いて」という風潮が強いように思う。どうも、差別や社会問題を前にしたときの居心地の悪さや他人事感が風潮としてあるような気がするの

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「善人」による無理解が見事に描かれた映画『82年生まれ、キム・ジヨン』

「善人」による無理解が見事に描かれた映画『82年生まれ、キム・ジヨン』

81年生まれの私が原作本を読んだのは去年の春のことだ。韓国語教室を開いている母が教材として使っていたことで、勧められたのがきっかけだった。

カルテという形式で書かれているこの本には、韓国で生きる女性が遭遇するあらゆる不条理や差別、マイクロアグレッションが淡々と描かれている。その多くは、日本に生きる女性も経験する内容だ。韓国の価値観が残る家庭でジヨン同様姉と弟に挟まれて育った私には特に共感できる部

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『The Bold Type』が描く、身近な人間関係における多様性の摩擦

『The Bold Type』が描く、身近な人間関係における多様性の摩擦

最近の欧米の映画やドラマを見ていると、多様性への配慮がありありとわかる。その一方で、時間的制約からか、あるいはストーリーの本筋との兼ね合いなのか、その多様性が日常レベルで起こす摩擦については描かれていないことが多い。

たとえばNetflix映画『好きだった君へのラブレター』の主人公はアジア系だ。母親が韓国系という設定で、韓国の文化を継承していることはアクセサリー的に描かれているのだが、オレゴン州

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