料理の美味しい温泉(女将さんの手料理限定)16
私は、鄙びた温泉が好きなので、泊まる旅館はどうしてもご夫婦や親子で家族経営されているような小さな旅館になります。そのような旅館だと、基本的に食事は女将さん、たまーにご主人や息子さん、娘さんが食事を作ります。
立派な板長さんが作る豪華な懐石料理にも憧れますが、私は郷土料理が好きなので、その土地の旬な物や名産を使った家庭料理がうれしいです。初めて見るもの、食べるものはワクワクします。
私の独断と偏見による温泉もよくて、女将さんの手料理が美味しい温泉を紹介します。15はこちら。
福島 湯の花温泉 本家亀屋
湯の花温泉は南会津の鄙びた温泉街。内湯のある旅館はこちら本家亀屋さんだけで、宿泊客は4つある共同浴場を使用する湯治場の温泉地です。
こちらは前から泊まりたかったのですが、予約がなかなか取れず…1日一組限定なのと、一人宿泊不可なので、調整が難しかった。
こちらの宿はご主人と大女将(ご主人のお母さん)で営まれています。
まずは素晴らしい温泉のご紹介。自家源泉なんですが、内湯は何と宿から歩いて5分ほどのところにあります。鍵をかりて行ってみます。
訪れたのは11月初旬。予約の時、ご主人に「きっと紅葉がきれいな時期ですよ!」って言われたのですが、その通りでした。
まさかのこちらの小屋が温泉。鍵を開けて入ります。
先代が源泉の上に浴槽を作ったそう。底の塩ビパイプから源泉が出て来るまさに足元湧出の温泉なんです。生まれたばかりの温泉が空気に一切触れず、浴槽へ。なんて贅沢な!
夕食は1階のお部屋でいただきます。この部屋はリノベせず300年前と同じとのこと。古い調度品が並びます。
食事は大女将が作られてるそうです。
前菜は自家製野菜のラインナップ。左からなめこおろし、緑のトマトのにんにく醤油漬け、焼きなす、上は白和え。
緑のトマトは奥会津の特産品だそうです。初めて食べました。青臭さは全くなし。
会津ときたら日本酒でしょ!花泉、男山と無限ループ。料理に合うー!
地元産金山赤かぼちゃのスープ。優しい甘さが良き。イワナの塩焼きもありましたが、写真撮影忘れました。熱々で美味しくてすぐにかぶりついてしまって。笑
ごはんは?と言われましたがお断りしました。お蕎麦でお腹いっぱい。そば粉は亀屋さんでそばの実を育てて挽いているそうです。お蕎麦は打てないので他所にお願いしているそう。香りがよいお蕎麦でした。
朝食です。
納豆もパックのままじゃなくて、ひと手間かけていただくとうれしいですよね。右上は「花嫁ささげ」という会津特産の豆の甘煮。右下はじゃがいもとインゲンとさつま揚げの炒めもの。おばあちゃんのおかずっぽいごはんがすすむ一品。
真ん中に置かれた一品。取れたてトマトは塩がふってあるだけ。シンプルに美味しい。浅漬けもちょっとしょっぱめなのが東北や北関東あるあるで良き。素材がいいから余計なことしなくていいんですよね。
朝食のメインはやはり白ごはん。地元会津産のお米はツヤツヤで甘くて美味しかった。炊くお水も良いのでしょう。朝食後はご主人がコーヒーを入れてくれます。お水が美味しいのでコーヒーも格別です。
大女将の作る飾らない郷土料理や家庭料理はおもてなしそのもの。まさに地産地消、他所では食べられないよ!
湯の花温泉には外湯が4軒。2日間券300円を宿で購入して全て入りました。1日券は200円です。代表的な外湯をご紹介します。
湯の花温泉 石湯
大きな岩が壁にめり込んでるというその名も石湯。個性的な温泉です。混浴で、脱衣所は1ヶ所と言う超難関な外湯です。激熱です。
亀屋の女将(ご主人の奥様)は不在です。というのも、女将は看護師で、中学生の娘さんと郡山に住んでいるんです。この南会津地区は地元に高校がなく、子供達は高校進学と同時に高校がある地区に下宿して高校に通うのが一般的で、ご主人もそうされたそうです。今では子供がほとんどいない状況なので、女将さんと娘さんは教育環境のいい郡山に住んでいるそう。
また、女将さんが看護師故に夜勤があり、娘さんが1人になる夜勤の日は、ご主人が車で2時間かけて郡山に行くため、宿はお休みするそうです。
予約が取りにくい理由がわかりました。家族で温泉宿を維持するのはとても大変なことですね。
【本家 亀屋】
1泊2食8150円(税込)アメニティ:バスタオル以外あり。Wi-Fiなし、携帯電波あり
湯の花温泉は、華やかさや賑やかさはないですが、源泉掛け流しの素晴らしいお湯、地元産の食材を使用した素朴な料理、地酒と絶景、私の好きなものだらけの夢のような場所でした。
おわり