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十数年ぶりに読書を再開して

先月の七夕の出来事。わたしは偶然、十数年ぶりに服部まゆみの「罪深き緑の夏」に出会った。
その本は、服部まゆみの本の中でも、特に印象的だった作品。その上、また出会うなんて、微塵も想像していなかったために、再会が嬉しく、喜びのままにお迎えして、一晩で読み終わってしまった。

その日から、わたしは十数年ぶりに読書を再開した。

一ヶ月と少しの間に三十冊ほどの本を迎え、毎日、読書をしている。こんなに楽しいことを十数年も忘れていたなんて驚きだ。

罪深き緑の夏

わたしは幻想文学と呼ばれるものが好きなので、服部まゆみや赤江瀑、山尾悠子などの作家が好きである。
山尾悠子は読んだことのない作家だったが「ラピスラズリ」を読んで好きになった。こんな文章をどうやったら書けるのかと思う。凄まじい作家だ。

赤江瀑は、久しぶりに「オイディプスの刃」を読み、余韻がなかなか抜けなかったので少し困ったが、それくらい素晴らしい作品だった。のめり込み過ぎるほど、スルスルと物語にのまれたのだ。

久しぶりに読んだ作家という繋がりで書けば、久世光彦も好きな作家だ。「一九三四冬-乱歩」は、文字量が多くてなかなかページが進まなかったが、読み終えればその面白さも相まって読了の満足感が高かった。

久世光彦の本は「オイディプスの刃」と共に、アスタルテ書房という店でお迎えした。アスタルテ書房は京都にある、澁澤龍彦に縁がある書店。書斎がそのまま書店になったような場所だ。
(十月で閉店するらしいので気になる方は早めに行った方がいいだろう。展示もされていたりするので、詳細はSNSをご覧いただきたい)

アスタルテ書房の包み紙で作ったブックカバー

いろいろとお迎えし、早くもたくさん積読をしているのだが、今日も本をお迎えした。
京都の一乗寺というエリアにあるアリバイブックスという書店で出会った。三冊の本。

一冊目が澁澤龍彦の「エピクロスの肋骨」。函付きの本で状態も良かったのでお迎え。澁澤龍彦はいくらあっても良いというふうに思っている。

二冊目が徳田秋聲の「黴」。名著復刻全集として発行されたもので、わたしが迎えた本は昭和五十七年の第七刷である。
赤い表紙に金色の文字というだけで惹かれた。中の文字も大きく読みやすそうなのが決め手でお迎えすることに。

徳田秋聲「黴」

三冊目は室生犀星の「性に眼覚める頃」。最初はフォントの独特さに興味を持った。装丁のデザインが好みなのでお迎えを決定。後で調べたところ、詩人の初の小説で大正八年に発表されたものであることが分かった。

わたしが迎えた本は「黴」と同じ名著復刻全集として復刻したものであり、昭和五十一年の第七刷。

このような装丁で復刻するのもすごいが、それが今も尚、良い状態であることもすごい。お迎えして良かったと、まだ読んでもいないのに思える本である。

室生犀星「性に眼覚める頃」

わたしは読書だけでなく、本そのものが好きなところがある。そのため、装丁の美しさも大事なポイントだ。また、偶然に出会うということも大切にしており、ネットで買い求めることはあまりない。
古書店へ行き、端から棚を見て、惹かれる本を探す。そうやって出会うと、中古相場から少しくらい高い値段でも、「この本」でなければならないと思い、お迎えすることが多い。
逆に安い場合もある。また、状態が悪いものでも「一期一会」だと考えて迎えることもある。

赤江瀑「オイディプスの刃」

一冊一冊に思い入れがある。愛着があり、執着がある。そういうふうに思える本だけをお迎えしているのだ。

読書を再開して僅かな間で、こんなことになるのだから、本という存在の魅力は計り知れない。これからも、その魅力に浸かって読書を続けたい。

これからまた本を読むので、今回はこのあたりで終わろうと思う。おやすみ。


この記事は、誤っていくつか記事を削除してしまったので、まとめて書き直したものである。削除したものを元に戻すのは面倒なので、このようなかたちにした。

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