読売新聞社書評委員会経験者の本当にお勧めしたい本
はいどーも、ユーマです。
先日1月10日にAPU(立命館アジア太平洋大学)にて出口学長の呼びかけのもと、読売新聞社書評委員会経験者の7名の方に来学していただき、推薦図書について私たちAPUの学生に是非読んでほしい一冊と、お気に入りの一冊を紹介していただきました!!
本記事<Part.2>では前記事<Part.1>の続編といたしまして、皆さんのお気に入りの一冊(対象を選択しないのであればお勧めしたいのはこの本!)を紹介させていただきます。
ちなみに、学生の皆さんにお勧めしたい本<Part.1>はこちら↓↓↓
では、早速行ってみましょう。
松木武彦氏推薦図書
考古学は文系か理系か?日本人の皆さんは考古学を考えるとき、おそらく文系として考えると思います。しかし、海外では理系として認識されているところが少なくありません。松木さんも考古学を文系の学問として専門的に扱ってきたそうですが、この本をきっかけに理系とも考えることができるな。と考え始めたそうです。
人間とは何かを考えることはとても大事だと思いますが、この本の面白い切り込み方で人文科学という分野には大きな衝撃を与えるような一冊です。
宮部さんがこの本の書評を書いておられるので、これ以上は省きますが、めちゃくちゃ面白いですよね?
ドーキンスの自叙伝は死ぬほど面白いです(by出口学長)
あー私は遺伝子の乗り物にすぎないのか(by宮部さん)
松木武彦
国立歴史民俗博物館教授。専攻は日本考古学。「全集日本の歴史1 列島創世記」でサントリー学芸賞受賞。
柴田文隆氏推薦図書
どっかの魔法学校の作品とは別の魔法ものなんですけど、日本でもジブリで映画になっていましたね、、、
是非原作を読んで欲しいと強くお勧めさせてもらいます。
あらすじは省きますが、地獄から本来読んではいけない”影”を呼び戻してしまい、その影によって世界が壊されてしまうかもしれない。そんな状況に立ち向かうストーリーになってます。
面白いのは、ここに出てくる魔法使いは力をつければつけるほど魔法を使わなくなる。どっかが良ければ、どっかが悪くなることがわかった上で魔法を使わなければならない。大きな力を持った人ほど、責任が重くなるということが描かれていて面白いみたいです。
柴田文隆氏
透子湯農業大学応用生物科学部教授。著書に「戦後70年 日本の記憶」「ノーベル賞10人の日本人ー創造の瞬間」など
清水克行氏推薦図書
日本史が専門ですけど、西洋史の本を紹介しますとして、この本のことを清水さんがいずれ書いて見たいと思ってるとお勧めされました。
この本のあらすじをネタバレしない程度に話すと、主人公のマルタンは結婚後家から出て行ってしまうんですね。そのまま8年経ったところにマルタンによく似た詐欺師がマルタンとして戻ってきたところが舞台です。
家族も子供も誰も気付かないまま3年が経った時に、マルタンから家の財産処分の話を切り出します。その処分を巡って裁判が起こるんだけど、その新しいマルタンは偽物なんだけど、妙に情報を知ってて裁判自体が結構長引いたんです。
実はこれ実際の話で、この本はその裁判記録をもとに描かれた本なんです。
歴史学者は古文書を読み、古文書がない空白の歴史は小説家が考える。そんな前提があったのにも関わらず、彼女(著者)はそこを頑張った。
歴史学の領分を超えた推測が書かれている本として、清水さんも同じ歴史学者としていつの日かこーゆう本を書いてみたいと語ってます。
清水克行氏
明治大学商学部教授。専門は日本中世史。NHK「タイムスクープハンター」など歴史番組の時代考証も担当。著書に『室町社会の騒擾と秩序』『喧嘩両成敗の誕生』など
奈良岡聰智氏推薦図書
日清・日露・第二次戦争の話はよく日本の発展と敗戦を語る上で世の中に出てくるけど第一次戦争についてはあまり語られていない。私自身、第一次戦争の日本を専門に研究してて、ちょうど専門の本ということでこの本をお勧めしたいと思います。
この本では第一次戦争の複雑な動きがコンパクトに収まっている。
韓国の徴用工の賠償命令のニュースがありましたが、予定される日程はおそらく3月1日だと言われています。
なぜ3月1日なのかというと、韓国にとって建国記念日として掲げられている事件が三・一独立運動で、ちょうど今年が独立運動から100周年を迎えます。
実は韓国にとって、1948年よりも1919年の方が大事だと言われているのですが、それは当時上海にできた臨時体制が今の韓国の根本になっていると韓国政府は考えているようです。
こんな具合に、現在の色々な外交関係を紐解く上で第一次戦争をしっかり理解する必要があると思ってて、その上で一番わかりやすくまとまっている本はこの本だと思います。とオススメされていました。
奈良岡聰智
京都大学大学院法学研究科教授。専門は日本近代政治外交史。著書に「加藤高明と政党政治」で吉田茂賞受賞。「対華二十一ケ条要求とはなんだったのか」(サントリー学芸賞、アジア・太平洋賞大賞)
稲泉連氏推薦図書
めちゃくちゃ分厚い本でテーマにも共通点が全くないのに、めちゃくちゃ引き込まれた本です。
ノンフィクションを語る上で欠かせない本
木村政彦への愛情が1行1行書かれている。
木村が力道山にボコボコにされた日からそれまでと違った生き方をしなければなくなった。それをなんとかして変えようという思いが伝わってくる熱いノンフィクションです。
稲泉連
ノンフィクション作家。『僕が学校を辞めると言った日』により、第59回文藝春秋読者賞受賞。『僕の高校中退マニュアル』で単行本デビュー『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞
宮部みゆき氏推薦図書
著者のスティーブンが大学でホラー論を語っていたのを本にしたもの。
昔絶版になっていたものが復活したので是非読んで欲しい。
ホラーを書いていて、良心は痛まないのか?という問いに答えるために大学で教授をしている。そんな内容が書かれた本です。
宮部みゆき
OL、法律事務所、東京ガス集金課勤務の後、小説家になる。1987年「我らが隣人の犯罪」でデビューする。以後『龍は眠る』(日本推理作家協会賞受賞)『火車』(山本周五郎賞受賞)『理由』(直木賞受賞)『模倣犯』(毎日出版文化賞特別賞受賞)などのミステリー小説や、『本所深川ふしぎ草紙』(吉川英治文学新人賞受賞)『ぼんくら』などの時代小説で人気作家となる。最近では『ソロモンの偽証』が映画化された。
出口学長推薦図書
僕(出口学長)は毎晩寝る前に1時間くらい本を読んでから寝ているんです。若い頃は面白い本に出会うと、寝てる場合やないで!と言ってよく徹夜したものです。しかし最近はなかなか徹夜はしていないんですが、今回オススメするこのクアトロ・ラガッツィは最後に徹夜した本です。
舞台は九州。当時グローバリーゼーションが九州を襲った時に、4人の天正使節団の冒険団なんですが、読んでみるとボロボロ泣けてきた。
出かけた時には、日本は天国のようだった。しかし、帰ってきたら、キリスト教は禁止されていたりと変わっていた。そんな中、帰国後彼らがどのようにして自分たちの人生を生きていくのか。そんな話が書かれています。
僕がAPUにきて別府湾を見て最初にイメージしたのが、この本でした。彼らもこの別府湾を当時眺めていたと思うと、この地からもう一度グローバリゼーションを起こせたらと思います。
九州・別府に住んでおられる方には是非この一冊をオススメしたいと思います。
第一部が時間延長してしまったため、第二部は急ぎ足でススメたため紹介文も第一部と比べると少なくなりましたが、どの本もみなさんがいつか描いてみたい本や、面白くて眠ることができなかった本ばかりですので、興味があるひとは是非読んでみてください!
私は今読んでいる本達が終わり次第『利己的な遺伝子』を読んでみようと思います。