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パンケーキでも食べようか。第四十一回「雨の日にしたいこと」

 昨晩は眠りにつく前、小雨が降っていた。窓を見たら、まだ薄暗かった。アレクサに聞いたら快晴だった。昨晩は、テレビをつけっぱなしにして上掛けのないまま、敷布団に横になって早い時間に寝入ってしまったようだ。
 珍しくよく眠れた。そんな日は朝からやる気が出ない。身体がスッキリしていると、気怠さを振り切ろうと頑張る必要がない。

 起きると枕元に猫がいた。今日もイケメンだ。イケメン子猫たちが私の言うことなんて聞かなくても仕方ない。猫たちのトイレを片付け、ごはんを食べさせ、たくさん遊ばせた。今日の私は元気だから、やる気がない。猫たちといつまででも遊んであげよう!そうやって張り切る日に限って、猫たちの電池がすぐ切れた。子猫はすぐ眠たくなる。子猫は人間より先輩猫が好きだ。大猫は子猫たちをひたすら甘やかす。

 初めてNetflixのドラマに手を出した。ネットでさんざん宣伝されていたから、気になっていたのだ。しかし、ドラマを見ても、腹の虫はいかんともしがたい。猫たちが相手にしてくれないのでお腹が空いてきた。無論猫たちは私にごはんを作ってはくれない。私は猫たちのごはんを用意したのに!

 やる気のない日の前日は、大抵やる気がない。ごはんを炊いてなかった。仕方がないので食器を洗ってごはんを炊いた。けれどもおかずがない。作りかけの味噌汁がある。続きを作るのが億劫だ。なぜ味噌汁を作るのに味噌を濾さなければならないのだ!

 ごはんを炊いたけれど、おかずがないまま白飯は食べたくない。そうだ、パンケーキを作ろうと思った。ふわふわじゃない、平たいカリカリのパンケーキ。それしか作れないから。

 冷蔵庫にチーズがいっぱいあった。3種類以上だ。それに目玉焼きでも乗せれば良いだろう。業務用スーパーで買ってきたトマトベースのソースもある。それを塗って食べよう。甘いものを食べたい気分ではなかった。

 パンケーキの生地は案外手短に作れる。時間がかかるのは焼くところだ。

 しかし、パンケーキを焼きながらソースにはハーブがいろいろ入っているにしろあまりにも彩りが足りないと考えた。パンケーキが黄色い。昨日庭からちぎってきたピーマンを目玉焼きの隣で焼いてみることにした。

 手で割って、手で大雑把にちぎって焼いた。新鮮な音がした。ピーマンが割れる音もピーマンが焼ける音も新鮮だった。家庭菜園はこれがいい。ワイルドに行こう。

 ふわふわでない、甘くないパンケーキは香ばしい。とろけたチェダーチーズが焦げてしまった。その整わない感じが、私らしさだ。私が食べる私のパンケーキ。

 いそいそと部屋にパンケーキとお湯を沸かして入れたジャスミンティーを持ち込むと猫たちは寝ていた。人間のごはんに群がってこない、とてもできた猫たちである。私のご飯は猫たちにそれだけ魅力がないようだ。

 私に似合わない猫を飼っている。猫は私が生み出したものじゃない。私に猫が似合う素養があるわけない。私が作ったものが私らしさだ。何にもやる気のない日の朝の出だしは気分が良かった。朝4時前に起きてからパンケーキを食べ終わるまで4時間以上が経過していた。


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