憧れと尊敬。
あの人のようになれたら、と思った。
それは6月。
短期で昔の職場にまた通っていた時のこと。
職場で密かに憧れ、尊敬していた人と少しだけ一緒に仕事ができた。
思わず舞い上がってしまったけれど、すぐに気づけたことがある。
相変わらず働きものなところ。
来客によく気づいてさっと対応しているところ。
不意に聞かれる質問への完璧すぎるほどの応答。
上司とのラフなのにラフすぎないコミュニケーション。
物事の理解の速さと適応力。
凄すぎる、と思った。
わたしなんかが目指せる人なのか分からない。
どんなに頑張ってもその彼になれるわけじゃないけど、すぐに迷って立ち止まってしまうわたしには輝いて見えたの。あの人のように働いてみたい、って生意気にも思ってしまった。すごくイキイキしていて、まっすぐ頑張っていて、とても眩しく思えた。
彼がその職場で1年目のとき、一緒に働いていた。
彼が日に日に頼もしくなっていくのがわかるほど、自分のできなさが目についてしまって。わたしも立場は少し違うけれど1年目で、頭の中も色々追いつかなくて。すごく飲み込みが早くてメキメキ成長する彼と全然できない子なわたし。ああ、今でもちょっと落ち込んじゃうな。いや、わたしももっと頑張れていたら…なんて過ぎたこととはいえ、考えてしまう。
未だに、あの日々にはもう少しやれたことがあるんじゃないかと思っているから。
だから余計に彼の凄さを感じたのかもしれない。
そんな彼はこの短期間、上司から退勤時間が同じになる日は職場から遠いところに住むわたしを無事送迎するようにと指令を受けてた。何せ自分の車を持たないわたしは夜遅い時間や土日の早い時間は移動手段がぐっと減る。それを心配した上司のお心遣い、そこでまた彼の凄いところを見つけてしまった。
車の運転、とっても安全。
エアコンの温度気にしてくださる。
お迎えは約束時間より早く着く。
いや待て、神様か何か?
わたしの目や感覚がもし盲目になっていたとしても良い。
だって車の運転をするときってちょっと普段と雰囲気変わる人とかもいるじゃない。全然変わらない上に安全で、細やかなお気遣いまで。
話していないときも感じる安心感は、自分にとって何だか珍しくて。
もしかしたらわたしが、そういう人に今まであまり出会ったことがないだけかもしれないけれど。そんな些細なことが積み重なって、わたしはこの人のことを信じられる人だなとも思えた。お仕事もそれ以外も、相手がいる物事はきちんとしてる。それ以外は彼のみぞ知るところ。
一部分しか知らないことは百も承知。
それでもわたしが目指したくなるには充分すぎる理由だった。
烏滸がましいかもしれない。夢のまた夢みたいな目標。
彼のようになりたい。
彼のように仕事がしてみたい。
今できることは、今行っているまた別の短期の仕事を全うすること。
仕事の知識は惜しみなく勉強して身につけていくこと。
ちょっと苦手意識のある人間関係も、より良いものにするためにコミュニケーションを意識すること。
気遣いもだけど、気付き過ぎ考え過ぎを何なら程よく生かせるようになること。
職場の人が職場の人に言ってる愚痴はある程度聞き流していくこと。
自分のご機嫌は自分で取ること。
無理し過ぎないこと。
ちょっとした疑問も教わって自分の中に落とし込むこと。
自分で解決できない悩みは抱え込み過ぎずに誰かに相談すること。
次に彼に会うときには、少しでも成長した姿で会えるように。
ひよっこなりに足掻いていきます。
笑って良い報告をするために。
そしてまた、お互いお仕事頑張ろうって言い合うんだ。