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【day5】必要充分な時間が与えてくれたこと|4泊5日の大雪山縦走~山と道miniを背負って~
4泊5日の大雪山縦走登山の記録を、マガジンで連載しています。
ひょんなことから、大雪山縦走計画のメンバーに参戦することになった。山で4泊もしたことがない私が、やり遂げられるのか?
前回までの記事はこちら
~4日目は白雲岳避難小屋に宿泊~
灯台の存在
AM4:30、 起床。
モルゲンロードで鮮やかな朝が始まった。
昨日は、白雲岳避難小屋に泊まった。
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王冠のような、ギザギザ三角のお山がトムラウシだ。
遠くまで澄み渡って見える。
今日もいい日だなぁ。
まだ1日が始まったばかりなのに、この景色を見ただけで幸福感が自然と湧いてくる。自然の与えてくれるものには、敵わないな。
AM5:00 せっかくだから、雲海を見ながら外で食べよう!と思い立ち、
外のテーブル席で朝食を作った。
もう5日目の朝なので、残り物をできるだけかき集めて食べた。
ぼーっと遠くの景色を眺めながら朝のひと時。思わず無心になってしまう。
AM6:15 白雲岳避難小屋 出発
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段々小さくなる避難小屋。
この辺の灯台のような存在で、ずっと見守ってくれているように思う。
最終日、5日目のルートはこちら
5:36白雲岳避難小屋~白雲岳~北海岳~松田岳~荒井岳~間宮岳~11:08中岳温泉~13:39旭岳ロープウェイ姿見駅(下山)
AM7:20 白雲岳山頂に登頂。荷物は分岐にデポしてきた。
感動したのは、山頂から今までに歩いてきた景色が全て見渡せること。
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4日間の出来事を振り返り、爽快感と達成感が胸をいっぱいにした。
心がすっきりしているからか、余計に景色も清々しく見えてしまう。
最終日にふさわしい登山になった。
旭岳ロープウエイへ
AM8:30 北海岳山頂。
ここから、間宮岳にむけて稜線を歩いていく。
1日目に見た御鉢平の景色よりも、紅葉が深まっていた。
まるでお鉢の中に、絵の具を落としたみたいに。
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AM11:08 中岳温泉山の中に足湯ができる温泉がある。それが中岳温泉だ。
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久しぶりにお湯につかる。もう少しで下山して、温泉だ…!
1度脱いだらもう靴を履きたくなくなるが、ここからまだ先に進まなければならない。長居したいけれど、ぐっと我慢をして、登山靴を履いた。
***
中岳温泉からの道のりがとても長く感じた。
もう紅葉の満腹中枢はとうに超えてしまい、足はふらふらだった。
アドレナリンやドーパミンが出ているからか、足の痛みへの感度は鈍くなっていたが。
「もうちょっとだー!!」
メンバーと励まし合いながら無心で進んでいく。
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PM1:39 旭岳ロープウエイ姿見池駅 着
合計76㎞の道のりを歩いた4泊5日間の縦走登山は、幕を閉じた。
4泊5日の縦走を終えて
5日間はあっという間でもなく
短かった訳でもなく、充分な時間だった。
私に"自然なフィット感"を
取り戻させてくれる日々だった。
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何かに追われていたり、誰かより早く行動することに精を出したり
今という時間をなかなか味わえないのが
下界での私だった。
けれど5日間どっぷりと山時間を過ごしたおかげで、
今までの重要度や優先順位がガラリと変わった。
生活感覚が潜在的に
大きく変わったと感じた。
朝の時間、必要な食事、必要な睡眠、仕事とプライベートのバランス…
下山した今でも、あの山での生活で感じたことが基準となっていて
「私にとって自然なこと」を
新しい視点から選択できるようになっている。
今まで見過ごしていたことにも、
いい意味で”違和感”を感じられるようになった。
それが自分にとって
ナチュラルで
真実な気持ちかもしれないし、
逆も然り。
AとBを比較して
「どっちが自分にのって真実の気持ちなのだろう?」と
悩むことも出てきた。
けれどその悩みは「悩んでいる事があるな」とだけ受け止めて、
時間の流れに任せて答えを出していけたらいいかなと思う。
また大雪山に帰ってきたい。
神々の遊ぶ庭で経験したこと、気づいたこと
体感覚で感じた大切にしたいこと…
これからの人生で
大きな意味のある5日間となった。
epilogueへ続く
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