島根旅行に向けて、砂の器 (小説と’74映画)をちゃんと見た。
今年の夏休み、島根県を訪れる予定です。
島根県の観光地やグルメなどを調べたり、noteでも検索したりしていました。
そんな時、
『砂の器』に登場する奥出雲の地、亀嵩(かめだけ)とその近隣地域、木次(きすき)線の駅等で当時映画の撮影を行っていたクルー陣や俳優を目の当たりにした地元の小学生。後にNHKのプロデューサーになった方の記事に出会いました。
この方やその地域の人々にとって、撮影風景はとても珍しく衝撃的だっただろうし、撮影陣がその地に滞在していたことも、更には映画がもの凄くヒットしたことも、全てが強烈に記憶に残り、その記憶を今も皆が共有しているということがよく伝わり、とても微笑ましく、なんだか羨ましく思いました。
【『砂の器』と木次線】という書籍を出されています。
わたしにとっての『砂の器』は、SMAPの中居さん主演のドラマだけで、松本清張の原作も読んだことがありませんでした。
島根に行く前に原作を読んでおこう!と思い立ち、近くのBOOK OFFに向かいました。
最初の写真の通り、表紙のデザインが違うのは上巻(H.16)と下巻(H.30)で出版時期が違うからです。
その日そのBOOK OFF内にあるものを見繕いました。
そして、読み終えた後 ’74の映画DVDを観ました。
ちょうど50年前なんですよね。
映画を観ると、原作との違いに戸惑いました。原作と異なる箇所がかなり多いのです。原作に登場する人物もかなり削られています。
〈以下ネタバレあり〉
原作は、今西栄太郎刑事の執念深い細かい単独捜査模様が主軸になっています。一人で時間をかけながらゆっくり着実に真実に近づいていきます。常人離れした執念深さです。あっちに行って的外れで、今度はこっちに行って事件関係者の周りの人物にやっとのことで出会い、やっぱりダメで自宅に帰って休み、妻の女性雑誌を開いてみたり露店で盆栽を買っては妻にボヤかれたりと、人間味もあり私は原作の今西刑事のことが好きになりました。
映画では、最初は捜査がメインですが犯人が明確になるのも早く、犯人の生い立ちや父子関係に重きを置き、殺人事件を起こすことになってしまった動機へと導きながら、映像でしか表現てきない『宿命』という曲を贅沢に使い、感動のクライマックスに向かわせています。当時の映画音楽にかける費用の約三倍かけて制作されたとのことで、驚きです。
映画の展開は、観ている者に分かりやすく絞ってある上に、悲劇的で感動的な涙をそそるものとなっているのですが、松本清張本人が納得の出来であったとのエピソードがあります。
原作と映画との違いは、Wikipediaにも掲載。
〈映画には登場しない人物〉
さらに、
今西の妻、息子、今西の妹も原作には登場。プライベートの今西の様子や、家族との関係性も描かれています。
関川の愛人三浦恵美子が急遽引っ越した際の業者や、引っ越し先の管理人、ヌーボーグループの他のメンバーや青山の劇団の衣装係の女性など、原作には数多くの登場人物がおり、複雑化しています。
関川の存在があることで、どっちが犯人なんだと読者に思わせる描写があり、小説を読み進めたくなる気持ちにさせられます。
原作も映画も、どちらも素晴らしいです。
50年前の映像を観るだけでもワクワクしますし、映画冒頭の秋田県羽後亀田の駅前の食堂で、今西と後輩刑事の吉村が蕎麦とカツ丼を食べるシーンはすごく良くて、この時代に行きたい!と思いますね。
原作とは言っても私が読んだ物は、S.48発行です。
『砂の器』が始めて世に出たのは、S.35の読売新聞の連載小説です。当初の内容からも時代に合わせて変化しているのかもしれません。
と、長々と書きました。
旅行では、島根県の松江や宍道湖周辺と出雲大社辺りを周ろうとしていましたが、奥出雲辺りまで足を伸ばし、木次線の列車も見てこようと思っています。
旅する前に、名作に触れるって楽しみが倍増しますね!
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