記事一覧
怪談師の怪談をムリヤリ音楽のジャンルに喩えてみる【クダマツヒロシ編】
最近流行り?と言えば流行りですよね、怪談。
毎週いたるところで怪談イベントがやっています。私も音楽のライヴより怪談ライヴ行く回数の方が近年多くなっていますが、ふと思いました。
怪談師の怪談って、音楽のジャンルに共通するところもあるんじゃないかって。話の展開とかテンポ感とか。
そこで、無理矢理、独断と偏見で怪談師の語る怪談を音楽のジャンルに強引に喩えてみようと思うに至りました。
初回は関西の怪談
【実話怪談未満】ザクロ
小学校に上がるか上がらないかの頃、毎日一緒に遊んでいた姉弟がいた。
姉は二つほど上、弟は一つばかり下だったと記憶している。
自分の家の前には公園がある。その姉弟の家は、自分の家から向かって右、ちょうど公園の隣にあった。
あばら家のような長屋で、鬱蒼とした木や植物の苗などを植わっていたのを憶えている。
その家には、彼女らの祖母が住んでおり、自分もよく遊んでもらった。とても優しいおばあちゃんだった。
【本の感想】クダマツヒロシ『令和怪談集 恐の胎動』
怪談師として、語りもこなすクダマツヒロシ氏の単著一冊目。
本作の収録話は、彼の語りも含めてクダマツヒロシらしい切り口の話が並ぶ。
全31話の中でも、王道の様式を保った怪談もある(「訪問者」「理科室の女」)。
だが、本書に収録されているものの大半は、怪談の定石と外しの狭間をいくような、スレスレのものだ。例えば「御厨子開帳」や「豚の椅子」「恐の胎動」では、生理的嫌悪を衝く描写が隅々まで行き渡って
Ghost In The Motel
携帯電話のボタンを押す。
薄闇の中に浮かび上がる、蛍光色の黄緑色。発光するボタンは気持ち悪いほど無機質で、吐き気を催すほど有機的に見える。
安上がりのモーテル。
誰もいない。きっとここは、昔からわたししか住んでない。
唯一の持ち物でもある携帯電話は、汚れることも破損することもなく、わたしの手の中に納まっている。いつ頃から持っているのか、具体的にはわたしは知らない。ううん、わからないと言っ